ランディングページでの動画の自動再生をオススメできない6つの理由
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企業のマーケティングコミュニケーションやプロモーションに動画を活用する事例が増えていますが、ウェブサイト上に動画を設置する際、自動再生にすべきか否かで迷った経験がある人も多いのではないでしょうか?
自動再生であれば「注意を引きやすい」「高い確率で視聴される」といったメリットがありますが、その一方で、自動再生が好まれないさまざまな理由が存在することも事実です。
本記事では、その理由をひとつずつ解説していきます。
理由1:ページの読み込みが遅くなる
ホームページやLPは、ユーザー体験がスタートする場所であり、第一印象が非常に重要です。そしてそのポイントのひとつとなるのが表示時間(ローディング時間)です。
Googleが今年実施した調査では、インターネットユーザーの2人に1人が、2秒以内にサイトがローディングされることを望んでおり、モバイルサイトにおいても53%のユーザーが、表示に3秒以上かかると途中で離脱すると回答しています。
画像参照元:DoubleClick
加えてGoogleは、特にモバイルページにおいて、表示時間が検索結果の表示順位に影響することも明らかにしています。
インターネット上の情報量が爆発的に増えている今、人々は次から次へとサイトやアプリを渡り歩いています。サイトを訪れてすぐに魅力的な動画が再生されれば、好印象なユーザー体験が始まるかもしれませんが、そもそもすぐにページが表示されなければ、潜在的なユーザーや顧客の多くを失う可能性があるのです。
理由2:サイト訪問者は動画の自動再生を予期していない
モバイルデバイスが普及した今、どのような環境下でサイトにアクセスしているか想定することは難しくなっています。例えば、電車の中や静かな環境で突然、音声とともに動画が再生し始めたら、どうでしょうか?あるいはスマートフォンで好きな音楽を聴いていたときに、突然動画の音声が重なって聞こえてきたら、どんな印象を持たれるでしょうか?
上述した通り、第一印象は非常に重要です。各種ソーシャルメディアやネイティブ動画広告では、自動再生というスタイルが定着してきていますが、ウェブサイトは決して広告ではないため、ユーザー体験を最優先に考える必要があります。
理由3:認知的負荷が増える
認知的負荷とは、ウェブサイト内で特定の目的を達成するまでに要する脳内での情報処理プロセスのことです。良いユーザー体験(UX)とは、ユーザーの認知的負荷を最小限に抑え、ストレスなく目的を達成できることだとされています。 例えば、サイト訪問者が資料請求したいという明確な目的を持っていたとしても、複数の動画が自動再生されていると、その人にとっては不要な情報が次々と目に入ってくるため、ナビゲーションやメニューを認識したり選択する際に必要以上に脳に負荷をかけることになってしまうのです。
理由4:動画の視聴自体がCTAになってしまう
当然のことですが、動画を視聴したか否かが、ウェブサイトの成否を決めるものではありません。ウェブサイトの目的はあくまで、ユーザーをファネルの深いステージへと進めることにあります。 そのため、例えばLPの主目的を「問い合わせ獲得」に置いた場合、認知的負荷を軽減するためにも、フォーム入力ページへの誘導をシンプルかつ分かりやすくするのがベストな策と言えます。 その代わりに自動再生の動画を置くとどうでしょうか?サイト訪問者は動画を視聴することを強要され、その上でやっとCTAへのアクセスが許されることになります。
サイト訪問者が自分の目的を達成するために、能動的に動画を視聴し、理解・納得した上でCTAボタンをクリックするのであればまったく問題ありませんが、動画の自動再生(=強制視聴)という、人によっては不必要なステップや認知的負荷を生じさせることは、決して得策とは言えないでしょう。
強制的に視聴させられるという形は、一種の「広告」的な印象を与えるという意味でも、ユーザー体験を低下させる可能性があります。
理由5:データが実証している
あるBtoB企業はかつて、ホームページのファーストビューに自動再生の大きな動画を置いていましたが、その後、動画を削除し、画像とテキストが主体のホームページに変更しました。すると、以下のような効果を得られたそうです。
- 検索経由でのオーガニックトラフィックが53%増加
- CV(サインアップ)が7%増加
- 離脱率が4%改善
ホームページのメインコンテンツを動画にすると、テキスト情報が極端に少なくなるため、検索エンジンによる評価が下がる可能性があります。上述の企業は、テキスト主体のホームページに変えたことで、検索エンジンからは“リッチな”サイトとして認識され、結果的にSEO対策になったと考察しています。
加えて、サイト訪問者にまず動画を視聴させる、という構造から、他ページのメニューやCVポイントへの導線が明確なサイトにしたことで、上記のような効果を得られたと考えられます。
もちろん、サイト内の各ページでは、サービス紹介やお客さまの声などの動画コンテンツを適宜配置しています。
理由6:ホームページは「入口」である
そのサイトのユーザー体験のスタート地点となるホームページは、例えるなら、ビルの「エントランス」です。入口では、ビルのフロア情報を示し、訪問者が目的地に最短距離でたどり着ける方法を示すべきです。入口で突然、コンセプト動画を視聴させて足止めをすれば、どれだけユーザー体験が低下するかは、容易に想像できるでしょう。
今回はホームページやLPにおける動画の自動再生がオススメできない理由を解説しましたが、絶対に自動再生動画を使ってはいけない、という訳ではありません。どうしても自動再生にする必要がある場合は、数秒の短尺動画にまとめたり、一時停止ボタンを用意するなどで、ネガティブなインパクトを軽減できる可能性もあります。
最適なウェブサイトのかたちを見極めていくには、CVRやSEOの観点からA/Bテストを重ねていくことが大切です。