マーケティングに欠かせない「CTA(Call to Action):コールトゥアクション」とは、各種タッチポイントにおいてクリックやフォーム入力といった特定の行動を促すもので、動画マーケティングにおいても、着実にマーケティング成果を得るために重要な要素です。
動画の場合、動画視聴途中や視聴後に、サイト訪問、問い合わせ、資料請求、メルマガ登録、次の動画の視聴、シェアなどのCTAが考えられ、マーケティング設計次第でその内容を選択します。
動画はその訴求力の高さから、視聴者を引きつけ、興味を喚起し、理解を促進する効果が高いため、動画視聴直後の“温まった状態”は次の行動を喚起する絶好のタイミングと言えます。つまり動画を企画制作する段階から効果的なCTAを設計し、配信する際に的確に設定することが重要なのです。
そこで本記事では、CTAの基本から応用までを前後編に分けて解説していきます。
メディア/プラットフォーム別CTAの種類と機能
動画マーケティングにおけるCTAを設置する場所は、「動画内」と「動画を掲載しているウェブページ内」に大別することができます。
動画プレイヤー内に設置するCTAは、動画を配信するプラットフォームやメディアによってその機能や種類が異なります。
一方、Webページ内にCTAを設置する場合は、その自由度は無限大と言えます。動画視聴後にすぐにアクションを起こせるよう、動画の近くに置くという大原則さえ守れば、そのデザインも内容も、表示させるタイミングも自由自在です。
前編の今回ではまず、多くの企業が利用している各種プラットフォームやメディアが備えるCTAの種類と機能をまとめました。
YouTube
YouTubeでCTAとして活用できるのは以下の5つです。順番に解説していきます。
- カード
- 終了画面
- 説明文
- CTAオーバーレイ(動画広告配信時のみ)
- TrueViewアクションキャンペーン(インストリーム広告フォーマットでのみ利用可)
カード
カードは1本の動画に最大5つまで設定でき、右上の「i」マークをクリックすることで表示されます。カードの内容は、「YouTube動画または再生リスト」「チャンネル」「アンケート」「関連ウェブサイトのリンク(※一定条件あり)」から選択が可能。表示タイミングも自由に設定でき、PCでもモバイルでも表示されるカードは、CTAとして有効活用したい機能です。
詳しくはYouTubeヘルプをご参照ください。
終了画面
終了画面とは、動画の最後の5~20 秒の中の任意のタイミングで、「他の動画または再生リスト」「チャンネル登録」「チャンネル」に誘導できるCTAです。PCにもモバイルにも対応しており、動画視聴後に行動を促す上で非常に有効ですが、要素の大きさや配置に一定の制限があるため、終了画面機能を使うことを想定した上で、動画のエンディングのデザインや尺を考えることがポイントです。
詳しくはYouTubeヘルプをご参照ください。
説明
動画を通して興味を持った人はYouTube動画の「説明」にも目を通す可能性があります。説明文内でも、各種リンクを貼るなどして次の行動を促す対策も忘れないようにしましょう。SEO対策としても有効です。
Call-to-Actionオーバーレイ
Google AdWordsを通して動画広告として配信する場合は、「Call-to-Actionオーバーレイ」を活用することができます。機能はサイトへのリンクのみで、テキストと画像を入れることもできます。カードを設定している場合は、CTAオーバーレイとカードのどちらか一方しか表示させることができません。
TrueViewアクションキャンペーン
動画本体の下に、商品やサービスを宣伝する見出しテキストとともに、「詳しく見る」「資料請求する」「今すぐ予約!」等の任意のフレーズを備えたリンクボタンを設置できるのがTrueViewアクションキャンペーンです。動画から独立した表示形態のため視認性が高く、終始表示されているため、クリックを得やすいCTAを言えそうです。
画像参照元:Think with Google
以上のように、YouTubeではさまざまな形で次のアクションを促すことができますが、YouTube内には常に多数の“ライバル動画”が隣り合わせで存在します。YouTube内で次々に関連動画を視聴させるよりは、まずは早くWebサイトやLPに移動させ、そこでさまざまな動画を視聴してもらう設計の方が、興味を持った潜在顧客をつなぎとめ、マーケティングファネルの次の段階へと進めやすいかもしれません。
Vimeo
Vimeoでは無料プランか有料プランを選ぶことができますが、有料プランを利用すれば以下の3つのCTA機能を使うことができます。
- 終了画面(Vimeo Plus以上のユーザー)
- カード(Vimeo Business以上のユーザー)
- Eメールキャプチャ(Vimeo Business以上のユーザー)
終了画面
動画再生の終了後に表示されるCTAです。「その他の画像」「共有オプション」「カスタムリンク/画像」「Eメールキャプチャ」の中から選択できます。
カード
動画再生中の任意のタイミングでリンク・画像・テキストを表示できるのが「カード」機能です。ただし、Webページに埋め込んだ場合や、SNSで共有された時のみ表示でき、Vimeoサイト内での動画再生時にはカードは表示されません。
Eメールキャプチャ
Vimeoでは、埋め込み動画の前後または中間で、Eメールアドレスを入力するCTAを設置することもできます。Eメールアドレス入力のスキップ可/不可も選択でき、例えば、入力した人だけ動画の後半を視聴できるようにする、といった使い方もできます。
詳しくはVimeoヘルプセンターをご参照ください。 ◆画像つくる?◆
日本では、社内でYouTube動画を視聴できないよう制限している企業も一定数いるため、特にBtoBサービスの動画マーケティングではVimeoの活用も有効です。CTA機能はシンプルですが、Eメールキャプチャといったユニークな機能もあるため、うまく活用してみてはいかがでしょうか。
Facebook/Instagram
FacebookおよびInstagramでは、動画広告として配信する場合にのみ、下記一例ようなCTAボタンを動画の下に設置することができます。ただし、キャンペーンの目的によって選択できるCTAが変わり、また広告を作成する段階でコールトゥアクションボタンを選択する必要があります。
こちらのページで、配信面と目的によって選べるCTAの種類を確認できます。
- 詳しくはこちら
- 購入する
- 予約する
- 申し込む
- 登録する
- ダウンロードする
- 他の動画を視聴
Twitterでも、広告を配信する際に設定できるCTAがあります。動画クリエイティブを活用できる広告メニューの中でCTAを設置できるのは以下の3つです。
- ビデオウェブサイトカード
- モバイルアプリプロモーション – ビデオアプリカード
- カンバセーショナルカード
Twitterユーザーはまずテキストに注目する傾向があり、そこで十分に惹きつけ行動を促すことができれば、カードやリンクからサイト等に遷移することが期待できるためか、CTAの選択肢はそれほど豊富にありません。
その一方で、カンバセーショナルカードというユニークなCTAを提供しています。カンバセーショナルカードは「あなたはどちらが好き?」といった問いかけなどとともに、任意のハッシュタグを使ったコールトゥアクションを設定できるというもの。ユーザーがCTAボタンをタップすると、選択されたハッシュタグと予め設定されたブランドのメッセージがツイート本文に表示され、適宜編集した上で動画付きでツイートすることができます。サイトに遷移させるような通常のCTAとは異なる概念ですが、会話を生み出すきっかけとなるツイートと動画がユーザー間で広まることが期待されます。
詳しくは公式ブログをご参照ください。
画像参照元:Twitter公式ブログ
動画配信プラットフォーム
各社が提供している有料の動画配信プラットフォームでは、CTAの種類(ボタン、入力フォームなど)から表示方法・タイミングまで、マーケティング効果をより高めることを目的としたCTA機能が充実しています。サービスによりその内容が異なるため、ここでは詳細は省略しますが、CTAをより効果的に活用していきたい場合には、各サービスの機能を比較してみるとよいでしょう。
なお、Webページ内に動画を直接置く場合でも、特定のタイミングで動画上にフォームを表示させるなどのプログラムを組むことで、プラットフォームと同じような見せ方をすることが可能です。ただしこの場合、プラットフォームのように、動画再生率や離脱率などの各種データを取得することはできません。
昨今は、複数のメディアやプラットフォームをまたいだ動画配信がスタンダードとなりつつあり、それぞれが備えるCTA機能を適切に活用することが求められます。つい忘れがちなCTAですが、動画マーケティングの効果を高めるために、確実に実施するよう心がけていきましょう。