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2023-04-10 21:34

【前編】アニメーション動画のメリットや表現の種類、企画する上でのステップや制作における相場観などを解説

デジタルを中心とした広告・マーケティングの最新動向を発信するマーケティングメディアのMarkeZineの最新の調査によると2021年と比較してデジタルの広告予算として動画広告は検索連動型広告に次いで増加したとの回答があり、多くの企業で動画の活用が広まっていますが、そもそも実写やアニメーション、3DCGなど動画といっても選択肢は沢山存在しています。

動画の用途も幅広く、広告等のプロモーション動画から営業ツールなどの販売促進動画、採用動画、研修動画などのHR領域、株主総会などのIRでの動画活用も今では一般的になりました。

とは言っても、自部門で動画を活用するためにはどのような表現が良いのか。または、そもそも映像制作の相場ってどれぐらいなのか。これから映像制作をご検討される方にとっては想定が付かないケースもあるかと思いますので、今回はアニメーション動画に絞って、前編ではアニメーション動画のメリットや表現の種類、後編ではアニメーション動画を企画する上でのステップやアニメーション動画の制作における相場観などを解説したいと思います。

まず、LOCUSが考えるアニメーション動画のメリットは以下の通りとなります。

アニメーション動画のメリット

実写と比較するとアニメーション動画は、理解を促す事に向いています。

情報を分かりやすく伝えることが出来る

特にWebサービスなどの無形商材を分かりやすく説明するのには実写よりアニメーション動画の方が長けています。画面キャプチャやイラスト、図版を駆使しながら論理立てて説明をするのにはアニメーションが長けています。

特にアニメーション動画の表現手法の一つであるホワイトボードアニメーション動画はより理解度を促進すると学術的にも証明がされている動画の手法となります。

ホワイトボードアニメーション動画の事例をご覧ください。

ホワイトボードアニメーション動画とは、その名の如く、ホワイトボードのような白い背景に実際は手書きで(実際は手書き風が主流ですが)イラストやテキスト、図版を描き、展開をしていく動画の事を指します。

ホワイトボードアニメーション動画に限らず、動画全般に言える事ではありますが、学習効果として人間は視覚情報だけでなく、内容に即したナレーションや効果音などの音声情報も合わせて説明をした方が理解を促進させるとの論文が発表されています。

ホワイトボードアニメーション動画は、そもそもの動画の情報量の多さという特徴に加えて、「人間の目は動くものに反応しやすい」という、身体的な特性に適したアニメーション動画の表現手法となります。

前述した通り、ホワイトボードアニメーション動画はホワイトボードに板書しているかのような演出となりますので、発信者側が動画を通じて伝えたい情報を順に書き起こしていくため、視聴者自身も板書風の展開とナレーションなどの音声効果にて、頭の中を整理しながら視聴する事で、より理解が促進されると言われています。動画の演出次第ではありますが、多くのホワイトボードアニメーション動画は白と黒を中心に、強調したい箇所に色を加えるデザインが多いため、伝えたい要点以外の情報量も制限されている点も理解促進に起因しているのではと考えています。

実写では難しい世界観や概念を表現できる

過去や未来の話や商品の魅力を訴求するためのシチュエーションなど実写で再現しようとしたらいくら費用がかかるのか、という内容だとしてもアニメーション動画であれば自由自在に表現をすることができます。
サービス紹介動画でよくある構成ですが、このような課題をお持ちではありませんか?という課題提議のシーンも、アニメーション動画であればいくらでも表現可能です。
SFやファンタジーの世界などもアニメーション動画なら容易に描写ができます。

表現力のバリエーション

先程説明をしたホワイトボードアニメーション動画から2Dから3Dグラフィック動画、インフォグラフィックス動画、セルアニメーション動画、キャラクターを活用したイラスト動画などの動画表現の幅広さはもちろん、スタイリッシュなデザインからカワイイデザインまで、対象商品やサービスの世界観やトーンアンドマナー(テイスト)に合わせやすいのもアニメーション動画の特徴です。

実写動画と比較して動画制作の価格が抑えやすい

これは一概に言い切れないですが、内容によっては実写動画と比較してかなりの費用を抑えることも可能です。例えば、江戸時代のとあるシチュエーションを交えて商品・サービスの魅力を訴求しようとした際に、実写でも表現可能ですが、ロケーションやセットはもちろんのこと、キャストや衣装、小物などを考えると一つのシーンを撮影するだけでも莫大な費用が発生をします。
もちろん実写動画ならではのリアル感や自己投影が吸いやすい、共感を醸成しやすいなどのメリットもあるため比較は難しい点もありますが、価格においては幅広い選択肢があるのはアニメーション動画ならではのメリットとなります。

グローバル展開のしやすさ

アニメーション動画のイラストタッチやデザインにもよりますが、実写動画についてはキャストやロケーションで国ごとの色が出やすいですが、アニメーション動画なら言語やカルチャーの壁を越えて、ノンバーバルでも伝わりやすいため、同じ動画でもナレーションやテキストを翻訳して言語を差し替えるだけでグローバルに活用しやすいのもアニメーション動画の利点の一つとなります。東京オリンピックでも活用されたピクトグラムのイラスト表現は、まさにノンバーバルでも伝わる表現の一つとなりますので、沢山のアニメーション動画でも活用されています。

「情報を分かりやすく伝えることが出来る」
「実写では難しい世界観や概念を表現できる」
「表現力のバリエーション」
「実写動画と比較して動画制作の価格が抑えやすい」
「グローバル展開のしやすさ」

これら5つのポイントがアニメーション動画のメリットと言えるでしょう。

続いて、アニメーション動画の代表的な種類について解説します。

アニメーション動画の代表的な種類

モーショングラフィックス動画

よく目にするアニメーション動画の代表例がモーショングラフィックス動画となります。
モーショングラフィックスとは、テロップやイラストに動きを加えて、効果音(業界ではSEとも言われます)やナレーションと共に表現する動画の手法全般を指します。
デザインの幅も無限大のため、サービス紹介動画やテレビCM、動画広告など幅広いシーンで活用がされています。

 

タイポグラフィ動画

楽天スーパーセールのテレビCMやYouTube広告などを一度は目にしたことがある方も多いとは思いますが、文字を視覚的に強調するだけでなく、文字のフォントや色味、動かしでデザインにする手法の総称をタイプグラフィ動画と言います。タイポグラフィは活版印刷の技術が発端となるため動画に限らず、紙面から始まり、Webサイトのデザイン手法としても多く活用されています。順序だてて説明をするという目的より、商品・サービスの訴求ポイントをシンプルに定量的に訴求し、記憶に残す時には適した動画表現手法となります。

インフォグラフィックス動画

あまり聞きなれない方もいるかもしれませんがインフォグラフィックとインフォーメーションとグラフィックスを合わせた造語で、複雑な情報や数字などのデータの図形化、テキストやイラスト、グラフなどにデザイン性を持たせてグラフィカルに表現する手法全般を指しており広義な意味で使われています。

統計データや会社の沿革、相関図、how-toなど幅広い目的でインフォグラフィックスは活用されており、淡々と説明をすると目を引きづらいコンテンツでもインフォグラフィックスを用いることで、印象に残るコンテンツに変換する事が出来るため、この映像のようにビジネスシーンでも重宝されている動画演出の手法となります。

アイソメトリック動画

モーショングラフィックス動画やインフォグラフィックス動画の表現手法に含有される考えもありますが、ここ最近アイソメトリックの表現手法を用いた映像を目にする機会が増えました。元々アイソメトリックとはインテリアの俯瞰図などで用いられており、立体物を俯瞰視点から見せる製図法を指しています。専門的な表現をすると日本語では「等角投影法」と言い、高さ、奥行き、横幅の角度が互いに等角な製図法となりますが、2Dアニメーションを3D風に見せる手法としてアニメーション動画の多くで採用されています。

ここからは動画業界でアニメーション動画と表現されている演出プランとは少し異なりますが、広義な意味ではアニメーション動画となりますので簡単に解説をします。

 

ストップモーション動画(通称コマ撮り)

ストップモーション動画とは静止をしている物体を1コマ毎に動かして撮影して、その撮影素材を繋げることで、あたかも動いているかのように見せるような手法となります。コマ撮りとも表現される手法となります。
子供向けの番組で採用されているケースがあるので目にした方も多いと思いますが、クレイアニメや人形アニメなどが代表的な例で、撮影には綿密な準備が必要にはなりますが、特徴的な動きや温かみ、可愛さ、親しみやすさなどがストップモーション動画ならではの魅力となります。

モーションキャプチャ動画

アニメーション動画にも適用されているという意味で、モーションキャプチャ動画という手法も少し触れておきます。キャプチャ技術は複数あるので割愛しますが、モーションキャプチャは人間や動物、物などの動きをデジタルデータに変換する技術となります。コンピュータアニメーションやスポーツゲームに登場する人間の滑らかな動きなどにも採用されている技術となりますが、動画での身近な代表例としてはVtuberなどのアバターを動かす技術として活用されています。

セルアニメーション

費用が高いためビジネスシーンではそこまで活用されていませんが、ストーリーで伝えていくアニメーション動画の手法がセルアニメーションです。
幼少期にノートの端にイラストを描いてパラパラさせて動いているかのように遊んだ経験がある方もいるかもしれませんが、一般的にアニメもそのノートの原理と同じく静止画を連続して映し出すことで動いているように見せていて1秒間に25枚となります。

その中でも、セルアニメーションはセル画と呼ばれる透明なシート(何枚もの絵を重ねて背景だけを変えたり、顔の一部の表情だけを変えたりしやすくするために透明のシートが使われています。)にクリエイターが描いた手書きの絵を用いて表現するアニメーションを指します。コンピューターでコピーして修正をしてというわけではなく、手書きのためちょっとしたズレや色味の違いなどが生じてしまいますが、コンピューターでは実現が難しい温かみや世界観がセルアニメーションならではの魅力です。
最近ではパソコンでセル画のようなものを作りグラフィックと合わせる、セル画とフルCGの中間のようなものも多くはなってきています。

 

実写動画も同じくですが、アニメーション動画と一口で言っても様々。ジャンルの棲み分けも明確でない部分もあるため、今回の内容について異なる解釈をお持ちの方もいるかと思いますが、初めて映像制作をご検討されている方にとってアニメーション動画とは何なのかについて少しでも理解が深まったのであれば幸いです。

前編ではアニメーション動画のメリットや表現の種類について事例を交えて解説しました。後編ではアニメーション動画を企画する上でのステップやアニメーション動画の制作における相場観などを解説したいと思いますので、ぜひご覧ください。

アニメーション動画に限らず、動画制作や動画活用にご興味ある方はお気軽にご相談ください!!

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