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自治体PR動画の作り方|発注前に決めること・予算感・制作会社選びを解説

「動画を作ることになったが、何から手をつければいいか分からない」。自治体の広報担当者からよく聞く声です。前任者からの引き継ぎ資料は乏しく、庁内に動画制作の知見を持つ職員もいない。そんな状態で予算要求や業者選定を一人で進めることになった担当者は、少なくありません。

検索すれば、自治体PR動画の成功事例を集めた記事はいくらでも見つかります。ただ「どんな動画が話題になったか」は分かっても、「自分がどう発注を進めればよいか」に答える記事は驚くほど少ないのです。この記事は事例集ではありません。目的設計から発注前に庁内で詰めておくべき論点、制作会社の選び方までを、発注担当者の実務目線で書いています。


目次[非表示]

  1. 1.自治体PR動画の目的は4つに分かれる
  2. 2.発注前に庁内で決めておく5項目
  3. 3.LOCUSの自治体・官公庁PR動画 制作事例5選
  4. 4.制作会社の選び方|自治体案件で見るべき4基準
  5. 5.よくある質問
  6. 6.まとめ

自治体PR動画の目的は4つに分かれる

自治体PR動画とひとくちに言っても、観光誘客・移住定住促進・地域活性化・政策広報では、企画の作り方も成果の測り方もまるで違います。目的を曖昧にしたまま制作を始めると、誰に何を伝えたいのか分からない動画になりがちです。

類型

主な目的

測定指標の例

観光誘客・インバウンド

観光客数の増加、認知度向上

観光サイト流入数、宿泊予約数

移住・定住促進

移住相談・問い合わせの増加

相談窓口への問い合わせ数、完全視聴率

地域活性化・施設紹介

地域資源の認知拡大

施設来訪者数、関連サイト流入数

政策広報

制度・施策の理解促進

該当ページ閲覧数、コールセンター問い合わせの変化


再生数だけをKPIに置くと、目的の達成度を測れなくなります。動画の先にある行動を指標に設定してください。

すでに動画制作の方向性が固まっている場合は、次の「発注前に庁内で決めておく5項目」から読み進めてください。

発注前に庁内で決めておく5項目

制作会社に相談する前に、庁内で合意しておくべき項目があります。ここが固まらないまま発注を進めると、企画が二転三転し、スケジュールと予算の両方にしわ寄せがきます。

ターゲットを1人に絞り込む

「住民全員に向けて」「幅広い世代に」という設計は、結果として誰の心にも残らない動画になります。同じ移住促進動画でも、子育て世帯には保育環境や医療体制、単身者には仕事の探しやすさやコミュニティの雰囲気というように、響く情報がまったく違うからです。後述する相模原市の事例では、テック産業の集積と大学の多さという地域特性から、子育て世代・大学生・若手カップルという3層に絞ってキャスティングを決めています。

尺と配信先を先に決める

動画の完視率は尺によって大きく変わります。Digital Applied社の2026年調査によると、短尺(15秒程度)の完視率は85%です。中尺は62%、長尺は38%まで下がります。伝えたい情報が多いからといって長尺にすると、最後まで見てもらえません。

配信先も尺の設計に直結します。サイバーエージェントの調査では、国内のスマホ向け動画広告における縦型動画の比率は約3割まで拡大しました。SNS配信が主軸なら縦型・短尺、YouTube広告や特設サイトへの掲載が主軸なら横型・中尺という判断が基本です。堺市の事例では、YouTube広告での配信を前提に企画段階からアニメーション形式を選び、高い完全視聴率につなげています。配信先を先に決めていたからこそ、そこに最適化した表現を選べた例です。

二次利用の範囲を先に確定する

動画には出演者・楽曲・撮影場所など、複数の権利関係が絡みます。誰の許諾がどこまで必要になるかを発注前に洗い出しておくと、後工程での調整が減ります。自治体の動画は、当初の想定を超えて使われる場面が少なくありません。議会報告資料への転用、広報紙のQRコードからの誘導、展示会での上映、他部署への横展開などです。行田市の事例では、市役所と「足袋のまち行田」活性化推進協議会という2つの主体が関わっています。Webサイト・YouTubeチャンネル・デジタルサイネージという複数の活用場所を、当初から想定していました。関わる主体と使う場所を早い段階で洗い出しておくと、権利処理の範囲を後から広げずに済みます。

単年度予算と年度末納期の制約を織り込む

自治体の予算は単年度が原則で、年度をまたぐ発注は避けたい事情があります。制作期間は目的や規模で異なります。厚生労働省の事例のようにアニメーション・1ヶ月~で対応できるものもあれば、堺市・相模原市・箱根町のように実写やロケを伴い2ヶ月~かけるものもあります。特に箱根町の事例は、四季折々の風景を撮るために1年かけてロケ地と交渉を重ねた案件で、通常の制作期間の目安には収まらない特殊なケースです。ロケの有無、季節性の有無によって、想定より長い期間が必要になる可能性を早めに見積もっておいてください。

庁内の合意形成と炎上リスクの事前チェック

動画の表現が住民感情や地域の実情とずれていると、公開後に批判を受けることがあります。企画段階で関係部署や地元関係者のチェックを通すプロセスを組んでおいてください。公開直前になって表現の修正が発生する事態を避けやすくなります。表現の適切性は制作会社任せにせず、庁内でチェックする体制を事前に決めておくことが重要です。


LOCUSの自治体・官公庁PR動画 制作事例5選

LOCUSでは、自治体・官公庁からの動画制作を複数手がけています。予算帯によって対応できる規模や表現が変わるため、実際の案件を予算の低い順に紹介します。

事例1:厚生労働省様|「国民生活基礎調査」プロモーション動画

項目

内容

用途

政策広報(商品・サービス紹介動画)

スタイル

アニメーション

予算目安

50万円~

制作期間目安

1ヶ月~

活用場所

Webサイト、YouTubeチャンネル

「国民生活基礎調査」という統計調査の意義を伝える動画です。統計や制度の説明は、堅苦しく難解な印象を与えがちだという課題がありました。そこでアニメーションとインフォグラフィックを組み合わせ、数値データとの相性を重視した表現を選んでいます。実写のロケを伴わないアニメーション形式は、制作期間を短縮しやすく、比較的小さな予算からでも着手できる点が特徴です。数字やグラフを視覚的に見せたい政策広報との相性が良い形式といえます。

▶︎制作実績の詳細はこちら

事例2:行田市役所様/「足袋のまち行田」活性化推進協議会様|地域活性化

項目

内容

用途

地域活性化(会社・施設紹介動画)

スタイル

実写

予算目安

100万円~

制作期間目安

1ヶ月~

活用場所

Webサイト、YouTubeチャンネル、デジタルサイネージ

かつて足袋の生産地として栄えた行田市の産業と町並みを伝える動画です。東京から行田へ、行田から足袋工場へと視点を移していく構成で、視聴者を段階的に引き込む流れを作りました。外国人にも内容が伝わるよう、ナレーションに加えて英語のテロップを採用しています。自治体単独ではなく、地域の活性化推進協議会と連携した体制での制作という点も特徴です。実写でありながら、制作期間1ヶ月~、予算100万円~という比較的短期・小規模での対応となりました。

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事例3:堺市様|地域プロモーション動画

項目

内容

用途

観光誘客(動画広告)

スタイル

アニメーション

予算目安

300万円~

制作期間目安

2ヶ月~

活用場所

広告、Webサイト、YouTubeチャンネル

堺市の観光客誘致を目的とした動画で、若年層に堺市の魅力が届いていないという課題からスタートしました。Instagramで人気のイラストレーター山田全自動氏とコラボレーションした「ええやん堺」と、パラパラ漫画の手法で古墳の歴史を表現した動画という、2本の特徴的な企画を制作しています。歴史的資源をそのまま紹介するのではなく、若年層が親しみやすい表現に翻訳したことがポイントです。YouTube広告として配信し、高い完全視聴率を獲得しています。

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事例4:相模原市様|相模原市プロモーション動画

項目

内容

用途

移住・定住促進(動画広告)

スタイル

実写

予算目安

300万円~

制作期間目安

2ヶ月~

活用場所

広告、Webサイト、YouTubeチャンネル、デジタルサイネージ、展示会・セミナー、SNS

テック産業の集積が進み、子育て世代の流入と複数の大学の所在という地域特性を持つ相模原市の動画です。この特性を踏まえ、AIスピーカーをナビゲーター役に起用しました。ファミリー層・大学生世代・若手カップルという3つの層をキャスティングし、相模原の注目スポットを紹介する構成にしています。地域の産業構造や人口構成という定量的な特徴から逆算してターゲットとキャスティングを決めた点が、この事例の企画の核です。活用場所も広告・展示会・SNSと幅広く、複数のチャネルでの展開を前提に設計されています。

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事例5:箱根町様|地域プロモーション動画

項目

内容

用途

観光誘客・インバウンド(商品・サービス紹介動画)

スタイル

実写

予算目安

300万円~

制作期間目安

2ヶ月~

活用場所

商談、展示会・セミナー

日本有数の観光地である箱根町を、海外の旅行会社向けに紹介する動画です。四季折々の風景を撮影するため、1年をかけて現地に通い、数多くのロケ地との交渉を重ねて制作しました。ナレーションは日本語に加え、英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字の字幕)に対応しています。インバウンド需要を意識した観光誘客動画では、多言語対応の要否と、季節を跨ぐ撮影が必要かどうかを早い段階で決めておくことが、スケジュール管理の面でも重要になります。

▶︎制作実績の詳細はこちら


制作会社の選び方|自治体案件で見るべき4基準

自治体案件は、一般的な企業のプロモーション動画とは異なる工数が発生します。選定の際は以下の観点を確認してください。

自治体案件の実績があるか

自治体案件には、公募対応、進捗報告書の作成、議会説明資料への協力など、民間企業向けの制作にはない工程が伴います。過去に自治体案件を手がけた経験があるかどうかで、これらの工程への慣れが変わります。行田市の事例のように、市役所と協議会という複数の関係主体が絡む体制にも対応できるかは、確認しておきたいポイントです。

目的から逆算した企画を提案できるか

見積もりを出すだけでなく、複数案の企画や配信プランまで提案してくる会社かどうかを確認してください。堺市の事例が象徴的ですが、「観光資源をどう紹介するか」ではなく「若年層に届いていないという課題をどう解決するか」から逆算して企画を立てられるかどうかが、成果の差になります。

権利処理の範囲を明示できるか

出演者・楽曲・ロケ地の権利関係について、契約書や見積もりの段階で範囲を明示してくる会社は、後々のトラブルが少ない傾向があります。箱根町の事例のように多言語対応や長期ロケが絡む場合は、権利処理の対象がその分増えるため、事前の確認がより重要になります。

配信・効果測定まで対応できるか

動画の納品で終わらず、配信設定や効果測定まで対応できるかを確認してください。相模原市の事例のように、広告・展示会・SNSなど複数チャネルでの展開を想定するなら、チャネルごとの計測体制を制作会社側が理解しているかどうかも判断材料になります。


よくある質問

Q. 制作費用はどのくらいかかりますか

目的や形式によって幅があります。アニメーション形式の政策広報動画は50万円程度から、実写の地域活性化・施設紹介動画は100万円程度から、複数チャネル展開や多言語対応を伴う観光誘客動画は300万円程度からが目安です。単体の相場レンジだけを見るより、目的・形式・活用場所の数が近い事例と照らし合わせて判断してください。

Q. 失敗する自治体PR動画に共通点はありますか

ターゲットを絞り込まずに「住民全員向け」で企画を進めてしまうケースが目立ちます。誰に何を伝えたい動画なのかが曖昧なまま制作が進むと、内容が総花的になり、視聴者の記憶に残りにくくなります。発注前にターゲットを1人まで絞り込む工程を省略しないことが、失敗を避ける第一歩です。

Q. 炎上を防ぐにはどうすればよいですか

表現の適切性を制作会社に任せきりにせず、企画段階で庁内の関係部署や地元関係者のチェックを通すプロセスを組んでおくことが有効です。公開直前になってから表現の見直しが発生すると、スケジュールにも影響します。

Q. ショート動画と通常の動画はどちらを作るべきですか

配信先によって適した尺が変わります。SNSでの拡散を狙うなら縦型・短尺、YouTube広告や特設サイトでの詳細な情報提供を狙うなら横型・中尺が基本です。詳しくは「尺と配信先を先に決める」を参照してください。

Q. 職員採用にも動画は使えますか

使えます。採用ページやオンライン説明会で職場の雰囲気や職員の声を伝える動画は、エントリー数の増加につながる施策として活用されています。政策広報と同様、比較的小規模な予算からの対応が可能な類型です。


まとめ

自治体PR動画は、目的設計と発注前の庁内合意を丁寧に済ませておくと、制作会社とのやり取りが格段に進めやすくなります。ターゲットを1人まで絞り込み、尺と配信先を先に決め、関わる主体と活用場所を洗い出しておく。この3点を押さえるだけで、企画のぶれや後工程での認識のずれを大きく減らせます。

LOCUSでは、政策広報から観光誘客まで、自治体・官公庁のさまざまな目的に対応した動画制作を行っています。企画の方向性が固まっていない段階からのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。


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監修者
渡邊 友浩(株式会社LOCUS 事業推進グループ チーフ)

2017年、動画制作・動画マーケティング支援を行うLOCUSに入社。営業としてBtoB/BtoC問わず累計80社以上の動画活用を支援。現在は事業推進グループとして、宣伝会議デジタルハリウッドSTUDIOをはじめ、企業・団体向けセミナーで多数登壇。現場で培った経験をもとに、企業のYouTube活用やブランディング動画など、動画マーケティングの戦略立案と実践的な活用ノウハウを発信し続けている。

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