
研修動画の作り方とは?種類・構成のコツから配信・制作依頼の流れまで解説
研修を動画化したいと考えたとき、最初にぶつかるのは「何から手をつければいいのか分からない」という悩みではないでしょうか。集合研修には会場の確保や講師の手配といった負担があり、研修内容が担当者によってばらつくことも少なくありません。動画化はこうした課題を解決する手段になりますが、ただ作るだけでは効果が出ないのも事実です。
この記事では、研修動画の種類や向き不向き、企画から撮影・編集までの作り方、配信後の活用方法、そして制作を外部に依頼する際の選び方までを、自社の制作実績を交えながら解説します。
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研修動画とは?
研修動画とは、社内研修や社員教育の内容を動画というかたちにまとめたコンテンツのことです。新入社員向けのビジネスマナー研修から、コンプライアンス研修、業務マニュアルの解説まで、対象となるテーマは幅広くあります。
従来の集合研修には、いくつかの構造的な課題があります。講師を会場まで招き、受講者の予定を一斉に合わせ、研修ごとに会場を確保する。開催そのものに、毎回相応の手間がかかります。さらに、同じ研修内容でも担当する講師によって伝え方が変わり、受講者の理解度に差が出ることも珍しくありません。研修動画は、これらの課題を解決する手段として導入が進んでいます。一度収録すれば、開催のたびに人や会場を調整する必要がなく、内容も毎回同じ品質で届きます。
研修動画のメリットと向き不向き
研修動画には明確なメリットがありますが、すべての研修に適しているわけではありません。導入を検討する際は、自社の研修内容が動画に向いているかどうかを見極めることが大切です。
研修動画の利点は、収録した時点の品質をそのまま維持できる点にあります。たとえば全国に複数の拠点や店舗がある企業なら、各拠点に講師を派遣する代わりに同じ動画を配信すればよく、拠点数が増えるほどコストの差は広がっていきます。受講者側も、自分の都合のよい時間に視聴し、理解できなかった部分だけ見返せます。さらに後述するLMSと組み合わせれば、誰がどこまで視聴したかをデータとして残せるため、口頭での研修では難しかった進捗管理も実現できるでしょう。
一方で、動画化が向かないケースもあります。受講者同士のディスカッションやロールプレイングが研修の核となる内容は、動画だけでは完結しません。動画を視聴した後にグループワークを組み合わせるなど、補完する仕組みが必要です。また、制度変更や手順の更新が頻繁に発生する内容も、動画にすると都度の修正対応が発生しやすく、テキストベースのマニュアルと併用したほうが運用しやすい場合があります。
自社の研修テーマがこのどちらに近いか、まず見極めること。それが、無理のない導入の出発点になります。
研修動画の種類と特徴
形式ごとの特徴
研修動画には複数の形式があり、それぞれ向いている内容が異なります。
セミナー形式は、講師が解説する様子を撮影する形式です。既存の研修資料やスライドをそのまま活用できるため、初めて動画化に取り組む場合でも導入しやすいでしょう。
マニュアル形式は、業務手順や操作方法を画面や実演を通して見せる形式です。テキストだけでは伝わりにくい動きや手順を、視覚的に理解してもらえる点が強みになります。
ドラマ形式は、ストーリー仕立てで研修内容を伝える形式です。コンプライアンスやハラスメントのように、当事者の立場や心情を理解してもらう必要がある研修で効果を発揮します。
アニメーション形式は、実写での撮影が難しい内容や、抽象的な概念を説明する際に向いています。出演者の手配が不要なため、スケジュールに縛られず制作を進められるのも利点です。
形式 | 特徴 | 適した研修テーマ |
セミナー形式 | 既存の研修資料を活用しやすい | 新人研修、業界知識の解説 |
マニュアル形式 | 手順や操作方法を視覚的に伝えられる | 業務マニュアル、システム操作研修 |
ドラマ形式 | 当事者の立場や心情を伝えやすい | コンプライアンス研修、ハラスメント研修 |
アニメーション形式 | 出演者の手配が不要、抽象的な概念も説明しやすい | 制度解説、システム操作の研修活用 |
研修テーマ別の活用例
研修動画は、テーマに応じて以下のような使われ方をしています。
- 新人研修:ビジネスマナーや社内ルールの説明(セミナー形式・ドラマ形式)
- コンプライアンス研修:ハラスメントや情報管理に関する事例解説(ドラマ形式)
- 技術研修・業務マニュアル:操作手順や作業手順の解説(マニュアル形式・アニメーション形式)
- 施設・店舗のルール説明:現場で働くスタッフ向けの研修(実写・良い例悪い例の比較)
これらの組み合わせ方は、後述する制作実績でも具体的に紹介します。
研修動画の作り方
企画・目的設定
研修動画の制作で最初に固めるべきは、「誰に」「何を」「どうなってほしいか」の3点です。対象者の経験レベルや業務内容を踏まえずに制作を始めると、内容が抽象的になりがちで、視聴後に何をすればよいのか伝わらない動画になってしまいます。
たとえば新入社員向けの研修であれば、入社後すぐに実践してほしい行動を具体的に挙げ、それを動画の軸に据えます。目的が明確であれば、構成や演出の方向性も自然と定まっていきます。
構成・シナリオ作成
構成を考える際は、結論や要点を先に示す流れが効果的です。最初に「この動画で何が分かるようになるか」を伝えることで、受講者は目的意識を持って視聴できるようになります。
動画の長さは、扱うテーマの数で決まります。1本の動画に複数のテーマを詰め込むのではなく、テーマごとに動画を分けて、1テーマあたり5分から10分程度に収めるのが基本です。たとえば営業研修なら、「アポイントの取り方」「商談での聞き方」「提案資料の作り方」のように内容を分割し、それぞれを短い動画として作成します。こうすることで、受講者は必要なテーマだけを選んで視聴でき、復習したい箇所だけを見返すことも容易になるでしょう。テーマを分けずに1本にまとめてしまうと、後から内容を更新したいときも、その部分だけを差し替えられず、全体を撮り直す必要が出てきます。
シナリオの段階で、どこに図解やテロップを入れるか、実演映像をどこに挿入するかまで書き込んでおくと、撮影・編集の工程がスムーズに進みます。
撮影・編集
研修動画の撮影では、映像の画質よりも音声の聞き取りやすさが重視されます。雑音が入っていたり声が小さかったりすると、内容そのものが伝わらなくなってしまうためです。社内で撮影する場合は、外付けマイクを1本用意するだけでも、音声品質は大きく変わります。
編集においては、エフェクトやカット割りを多用するより、テロップと図解で情報を補強するシンプルなスタイルのほうが、学習動画としては伝わりやすいものです。テロップは発言をすべて文字にする必要はなく、重要な数字や専門用語など、視聴者が見返したくなる箇所に絞って表示すれば、画面の情報量を適切に保てます。
制作実績に見る研修動画の作り方
実際の制作実績を通じて、テーマや業種によって研修動画のアプローチがどう変わるかを紹介します。
三井不動産商業マネジメント様:施設ルールの浸透
業種・業界 | レジャー・飲食・サービス(商業施設) |
動画の用途 | 従業員向け研修動画 |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 200万円〜 |
制作期間 | 2ヶ月〜 |
活用場所 | 社内研修 |
商業施設「ららぽーと新三郷」で働く従業員に向けて、施設内のルールを理解してもらうための研修動画です。実際に働いている従業員に出演してもらうことでリアリティを出し、良い例・悪い例の両方を見せる構成でわかりやすさを追求しています。BGMを細かく付けて楽しく視聴できる工夫をし、冒頭と末尾には働くことへのモチベーションを高めるメッセージを配置しています。
多数のテナントと従業員が集まる商業施設では、施設ルールの均一な浸透が常に課題です。動画化により、アルバイト・パートを含む全スタッフが同じ内容・同じクオリティで学べる環境を整備でき、施設全体のサービス品質を底上げします。
ダイニングイノベーション様:コンプライアンス研修
業種・業界 | レジャー・飲食・サービス |
動画の用途 | コンプライアンス社内研修動画 |
制作スタイル | 実写(ドラマ形式) |
予算目安 | 200万円〜 |
制作期間 | 2ヶ月〜 |
活用場所 | 社内研修 |
「現金管理」「パワハラ」「セクハラ・飲酒問題」「情報管理」の4テーマを、オムニバス形式のドラマで描いたコンプライアンス研修動画です。各話が独立しながらも連動する構成により、長時間の研修動画でも視聴者を飽きさせない工夫が施されています。
コンプライアンス教育は全社員が同じ基準で理解することが求められる、典型的な業務標準化の課題です。動画化することで説明内容のばらつきを防ぎ、繰り返し活用できる研修資産として機能します。
ソラシドエア様:サービスマインド醸成
業種・業界 | レジャー・飲食・サービス(航空) |
動画の用途 | サービスマインド醸成・機内安全案内動画(研修用) |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 300万円〜 |
制作期間 | 2ヶ月〜 |
活用場所 | 社内研修 |
「ソラシドエアらしさ」を社員に伝えるサービスマインド醸成動画と、機内Wi-Fiで配信する機内安全案内動画を合計4本制作しました。実写映像にイラストを組み合わせたり、クイズ形式を取り入れたりすることで、受動的な視聴ではなく参加型の学習体験を実現しています。
「ブランドらしさ」の浸透は、テキストマニュアルで最も伝わりにくい暗黙知の代表例です。クイズ形式の採用は視聴後の行動変化を促す工夫として、記憶定着率の向上に直結する設計です。
ポポラマーマ様:アルバイト向け研修
業種・業界 | レジャー・飲食・サービス |
動画の用途 | アルバイト向け研修動画 |
制作スタイル | 実写+アニメーション |
予算目安 | 100万円〜 |
制作期間 | 2ヶ月〜 |
活用場所 | 社内研修 |
アルバイトスタッフ向けの研修動画です。視聴ターゲット層が若い女性を中心とすることを踏まえ、パステルカラーを基調としたポップなデザインに仕上げました。冒頭で企業理念を伝えることで、マナーや所作の習得だけでなく「働く上でのマインドの統一」を図っています。
飲食業は離職率が高くアルバイトの入れ替わりが激しいため、繰り返し使える研修動画の費用対効果が特に高い業種です。OJTに割くベテランの工数削減と、新人の独り立ちまでの期間短縮に貢献します。
大塚商会様:システム操作研修
業種・業界 | Webサービス・IT・ソフトウェア |
動画の用途 | HowTo・マニュアル動画(システム操作・研修活用) |
制作スタイル | アニメーション(画面キャプチャ) |
予算目安 | 100万円〜 |
制作期間 | 2ヶ月〜 |
活用場所 | Webサイト・商談・研修・展示会 |
「Adobe Sign」の操作マニュアル動画です。大塚商会様のレギュレーションに準拠しながら、実際の操作画面のキャプチャをもとにアニメーションを制作しました。テロップとナレーションを組み合わせることで、音声あり・なしどちらの環境でも内容が理解できるアクセシブルな設計としています。研修での活用も想定された構成です。
社内システムや業務ツールの操作手順は、テキストマニュアルでは「操作の流れ」が伝わりにくく、担当者への質問が集中しやすい業務の代表例です。実際の操作画面を映した動画マニュアルは「見た通りに操作する」だけで習得できるため、研修の場でも即戦力となる教材として機能します。
研修動画を活かす配信・運用の考え方
研修動画は制作して終わりではなく、どこでどう見てもらうかまで設計してはじめて成果につながります。
どこで見てもらうか:視聴環境の選択肢
研修動画の配信方法には、社内ポータルへの掲載、限定公開URLでの共有、LMS(学習管理システム)の利用などがあります。YouTubeの限定公開やファイル共有サービスで配信するケースも見られますが、これらは視聴履歴の管理や理解度テストの実施といった機能を持たないため、研修としての運用には不向きです。受講者がPCで視聴するのか、現場でスマートフォンから視聴するのかによっても、最適な配信方法は変わってきます。
LMS(学習管理システム)の選び方
本格的に研修動画を運用するなら、LMSの導入を検討する価値があります。LMSを使えば、誰が・いつ・どこまで視聴したかを可視化でき、未受講者へのリマインドや、理解度に応じた追加学習の提案がしやすくなるでしょう。
選定にあたっては、受講者にとって操作が直感的か、スマートフォンに対応しているかといった使いやすさに加え、テスト機能や修了証発行の有無、既存の人事システムとの連携が可能かどうかを確認します。自社の研修規模や更新頻度に合わせて必要な機能を見極めること。それが選定の出発点です。
視聴データを活用した改善
LMSや配信プラットフォームから得られる視聴データは、研修の改善に直結します。特定のシーンで離脱率が高ければその部分の構成を見直し、理解度テストの正答率が低い項目があれば該当する説明を補強する。視聴データを取得するだけで終わらせず、定期的に振り返り、研修内容や動画そのものを改善するサイクルを組み込むことが重要です。
なお、配信環境を整える際は、社外に公開すべきでない内容のアクセス制限や、誰でも視聴しやすい字幕・テロップの設置といった、セキュリティとアクセシビリティへの目配りも欠かせません。
研修動画でよくある失敗と対策
研修動画の導入でよく見られる失敗には、共通したパターンがあります。
社内で撮影したものの音声が聞き取りにくい
映像にこだわって音声環境を後回しにすると、内容が正しく伝わらない動画になってしまいます。スマートフォンのカメラでも十分な画質は得られますが、内蔵マイクだけでは周囲の音を拾いやすく、聞き取りにくくなりがちです。外付けマイクを1本用意するだけでも、音声の質は大きく変わるでしょう。
研修担当者の異動で運用が止まってしまう
動画の更新やLMSの管理を特定の担当者だけに依存していると、その担当者が異動・退職した際に運用が止まってしまいます。動画の元データや構成案、配信設定の手順を引き継ぎ用にまとめておけば、担当が変わっても運用を継続しやすくなります。
全社一律で同じ動画を見せてしまう
新入社員からベテラン社員まで同じ研修動画を視聴させると、内容が易しすぎたり難しすぎたりして、どちらの層にも刺さらない研修になりがちです。対象者の経験レベルに応じて動画を分けるか、視聴後の補足説明を変えるといった工夫が求められます。
よくある質問
Q. 研修動画は何本くらい用意すればよいですか
扱う研修テーマの数によって変わりますが、1つの大きなテーマを複数の短い動画に分割する場合、最初から全テーマ分を一度に作る必要はありません。優先度の高いテーマから着手し、効果を確認しながら本数を増やしていく進め方もあります。
Q. 研修動画は内製と外注のどちらがよいですか
更新頻度の高い簡易なマニュアルは社内での撮影・編集にも対応しやすい一方、コンプライアンス研修やブランディングに関わる内容のように、伝え方の質が成果に直結する研修は、専門的な企画力や演出力が求められます。研修の重要度や社内のリソース状況に応じて検討すると、判断しやすくなるでしょう。
Q. 研修動画の効果はどう測ればよいですか
視聴完了率だけでは、内容が理解され行動につながったかまでは分かりません。LMSの理解度テストの正答率や、研修内容を実務でどれだけ実践できているかといった行動面の変化を合わせて確認すると、研修動画が成果につながっているかを把握しやすくなります。
Q. 研修動画の制作期間はどれくらいかかりますか
企画の内容や撮影の有無によって変わりますが、外部に依頼する場合は企画からおおむね2ヶ月程度を見込んでおくと安心です。撮影が複数日にわたる場合や、出演者の手配が必要な場合は、さらに余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
Q. 既存の研修資料(スライドや台本)はそのまま使えますか
既存の資料がある場合は、構成のベースとして活用できます。ただし、スライドや台本はそのまま読み上げるための資料であることが多く、動画用にテンポや見せ方を調整する作業は別途必要になります。資料の内容自体を作り直す必要はないケースが多く、ゼロから企画するよりも準備の負担は軽くなります。
自社に合うパートナーの選び方
研修動画の制作を外部に依頼する場合、確認しておきたいのは制作実績だけではありません。納品後の視聴データをもとに改善提案ができるか、自社の研修テーマに対してどのような表現が向いているかを企画段階から提案してもらえるか。こうした点も、依頼先選びの重要な基準になります。
依頼から納品までの流れは、おおむねヒアリング、企画・構成案の提示、撮影・編集、納品という順序で進みます。最初のヒアリングで自社の研修課題や対象者の情報をどれだけ具体的に共有できるかが、その後の構成案の精度を左右します。事前に「誰に」「何を」「どうなってほしいか」を整理しておくと、打ち合わせがスムーズに進むでしょう。
依頼先を選ぶ際は、過去の制作実績が自社の研修テーマと近いかどうかに加えて、修正対応の範囲や、配信後のサポート体制まで確認しておきたいところです。そうすれば、契約後の認識違いを防げます。とくにコンプライアンス研修やブランディングに関わる研修のように、伝え方の質が成果に直結する内容では、企画段階からの提案力こそが依頼先選びの分かれ目になります。
LOCUSでは、新人研修からコンプライアンス研修、システム操作研修まで幅広いテーマの研修動画制作に対応しています。実写・ドラマ・アニメーションといった表現の選定から、配信後の活用方法まで含めてご相談いただけます。研修動画の制作を検討している方は、お気軽にご相談ください。
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監修者
渡邊 友浩(株式会社LOCUS 事業推進グループ チーフ)
2017年、動画制作・動画マーケティング支援を行うLOCUSに入社。営業としてBtoB/BtoC問わず累計80社以上の動画活用を支援。現在は事業推進グループとして、宣伝会議やデジタルハリウッドSTUDIOをはじめ、企業・団体向けセミナーで多数登壇。現場で培った経験をもとに、企業のYouTube活用やブランディング動画など、動画マーケティングの戦略立案と実践的な活用ノウハウを発信し続けている。




