
観光PR動画の制作事例5選|自治体の目的別に企画・費用・成果を解説
観光庁や自治体のWebサイトを見ると、多くの地域が観光PR動画を公開しています。予算をかけて制作するからには、単に映像を並べるだけでなく、認知拡大や誘客につながる企画にしたいところです。
観光PR動画は制作のスタイル次第で、若年層への訴求力も海外への波及力も大きく変わります。本記事では、LOCUSが手がけた自治体・企業の観光PR動画事例を目的別に紹介し、それぞれの企画意図と成果を解説します。あわせて、成果につながる動画の作り方や費用の目安、制作会社を選ぶ基準まで取り上げます。
この記事でわかること
- 観光PR動画の種類と、それぞれが向いている用途
- 自治体・企業が実際に制作した観光PR動画の企画意図と成果
- 成果につながる観光PR動画を作るための5つのステップ
- 制作費用の目安と、外注先を選ぶ際に確認すべき基準
目次[非表示]
観光PR動画とは|4つの種類と使い分け
観光PR動画とは、地域や施設、旅行商品の魅力を映像で伝え、来訪や利用のきっかけをつくるプロモーション映像です。写真やテキストでは伝えきれない街の空気感や体験の臨場感を、数十秒から数分の映像に凝縮して届けられる点が強みです。
一口に観光PR動画といっても、目的によって適した形式は異なります。まず種類を整理したうえで、後半で紹介する事例を見ていきます。
観光PR動画の4つの種類
動画の種類 | 主な目的 | 推奨尺 | 適した配信先 |
ブランディング動画 | 地域・施設の世界観を伝える | 60~180秒 | Webサイトトップ、YouTube |
体験紹介動画 | 具体的な体験内容の紹介 | 30~90秒 | YouTube、Web広告 |
縦型ショート動画 | 認知拡大・話題化 | 15~30秒 | TikTok、Instagramリール、YouTube Shorts |
海外向けプロモーション動画 | 訪日・訪問意欲の喚起 | 30~120秒 | 多言語SNS、海外の商談・展示会 |
観光PR動画の人気企画には、地元にゆかりのあるクリエイターとのコラボレーションや、実在する産業・暮らしを取材する構成が多く見られます。表面的な観光名所の紹介にとどまらず、その地域でしか成立しない切り口を見つけられるかどうかが、成果を左右します。
観光PR動画で得られる効果
観光PR動画は、Webサイトへの掲載だけでなく広告・展示会・デジタルサイネージなど複数の場面で使い回せる点も利点です。1本の映像素材から尺違い・言語違いのバージョンを派生させれば、制作コストを抑えながら露出機会を増やせます。
海外へ向けた誘客を目的とする場合は、多言語対応や配信プラットフォームの選定が別の論点として加わります。この点については後述の事例4・5で触れます。
観光PR動画の制作事例5選
ここでは、LOCUSが手がけた観光PR動画の事例を、目的別に紹介します。予算目安・制作期間・活用場所もあわせて記載しているため、自社の企画を検討する際の参考にしてください。
事例1:相模原市様|観光スポットの周遊を促す動画広告
項目 | 内容 |
業種・業界 | 官公庁・団体 |
動画の用途 | 動画広告 |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 300万円~ |
制作期間 | 2ヶ月~ |
活用場所 | 広告、Webサイト、YouTubeチャンネル、デジタルサイネージ、展示会・セミナー、SNS |
相模原市は、テック産業の集積と子育て世代の増加、複数の大学の立地という三つの特徴を持つ地域です。この特徴を観光文脈でどう見せるかが企画の出発点でした。地域の案内役としてAIスピーカーをナビゲーターに据え、ファミリー層・大学生世代・若手カップルという三つの視聴者層をそれぞれキャスティングし、相模原の注目スポットを紹介する構成にしています。
広告・Webサイト・YouTubeチャンネル・デジタルサイネージ・展示会・SNSと、六つの媒体に展開できる設計にした点も特徴です。単発の広告動画として終わらせず、複数の接点で繰り返し露出させることで、地域の認知を段階的に積み上げる狙いがあります。
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事例2:堺市様|若年層への認知拡大を狙ったアニメーション
項目 | 内容 |
業種・業界 | 官公庁・団体 |
動画の用途 | 動画広告 |
制作スタイル | アニメーション |
予算目安 | 300万円~ |
制作期間 | 2ヶ月~ |
活用場所 | 広告、Webサイト、YouTubeチャンネル |
堺市が抱えていた課題は、若年層への訴求力の不足でした。従来の観光PR動画は実写の風景紹介が中心になりがちですが、この層には別のアプローチが必要だと判断し、二つの企画を並行して制作しています。一つは、Instagramで人気のイラストレーター山田全自動氏とコラボレーションした「ええやん堺」。もう一つは、歴史ある古墳のストーリーをパラパラ漫画の手法で描いた動画です。
制作した動画はYouTube広告で配信し、高い完全視聴率を記録しました。ターゲット層が日常的に接しているクリエイティブの文法を取り入れたことが、最後まで見てもらう工夫として機能した事例です。
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事例3:行田市役所様|産業観光で地域資源を発信
項目 | 内容 |
業種・業界 | 官公庁・団体 |
動画の用途 | 会社・施設紹介動画 |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 100万円~ |
制作期間 | 1ヶ月~ |
活用場所 | Webサイト、YouTubeチャンネル、デジタルサイネージ |
行田市は足袋の産地として知られていますが、この産業資源をどう観光の切り口に変換するかが企画の要でした。東京から行田へ、行田から足袋工場へとつながる導線を意識した構成にすることで、視聴者の興味を段階的に引き出しています。地元の暮らしや産業に根ざしたストーリーは、風景だけを並べた動画では出せない独自性を持ちます。
外国人視聴者にも内容が伝わるよう、英語のテロップを採用している点も特徴です。5事例の中では最も予算・制作期間ともに抑えたケースで、単一のロケーションに絞り込むことでコストを圧縮しています。
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事例4:箱根町様|海外旅行会社への誘致を狙った多言語動画
項目 | 内容 |
業種・業界 | 官公庁・団体 |
動画の用途 | 商品・サービス紹介動画 |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 300万円~ |
制作期間 | 2ヶ月~ |
活用場所 | 商談、展示会・セミナー |
箱根町の事例は、海外の旅行会社を主な視聴者に想定した誘致動画です。四季折々の風景を撮影するため、1年間にわたり現地へ通い続けました。数多くのロケ地との交渉を重ね、季節ごとの表情を余さず収めています。
日本語に加え、英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)のナレーションに対応しており、商談や海外向けの展示会で活用できる資産となっています。訪日外国人向けの動画制作については、LOCUSのインバウンド向け動画で集客するための5つのポイント|制作から運用まで解説で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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事例5:京王電鉄株式会社様|交通手段を観光コンテンツにする
項目 | 内容 |
業種・業界 | レジャー・飲食・サービス |
動画の用途 | 会社・施設紹介動画 |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 300万円~ |
制作期間 | 2ヶ月~ |
活用場所 | 広告、デジタルサイネージ |
京王電鉄の事例は、高速バスという移動手段そのものを観光コンテンツとして見せた点が特徴です。5日間かけて沿線各地の名所を撮影し、テンポ感のある音楽と映像を組み合わせることで、バスに乗って観光地を巡る体験をリアルに描いています。
観光地の紹介にとどまらず、移動すること自体の楽しさを伝える構成にしたことで、訪日外国人が乗ってみたいと感じるビジュアルに仕上げています。デジタルサイネージでの展開により、訪日前と来日後の両方の接点でアプローチできる設計です。
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成果につながる観光PR動画の作り方
事例を踏まえたうえで、実際に企画を進める際の流れを整理します。
ステップ1:ターゲットと目的を決める
最初に行うべきは、誰に何を届けたいのかの明確化です。20代女性の週末旅行と、シニア層の長期滞在では、訴求すべき映像も尺もまったく異なります。目的が認知拡大なのか、誘客なのか、あるいは商談での活用なのかによって、企画の方向性は変わります。
相模原市の事例では、テック産業と子育て世代という地域の実態からターゲットを三層に分解しました。堺市の事例では、若年層に絞り込んだことで表現手法そのものを見直しています。ターゲットを絞り込むほど、企画の解像度は上がります。
ステップ2:KPIを設定する
観光PR動画で設定すべきKPIは、フェーズごとに異なります。
フェーズ | 主な目的 | 代表的なKPI |
認知 | 地域・施設を知ってもらう | 再生回数、リーチ、視認率 |
興味 | 関心を高める | 視聴完了率、保存・シェア数 |
訪問意向 | 来訪を具体的に検討させる | サイト流入、資料DL、予約遷移 |
来訪・消費 | 実際の訪問・消費を生む | 宿泊数、観光消費単価、周遊率 |
一本の動画で全フェーズを担おうとすると、訴求がぼやけます。堺市の事例のように認知拡大に絞る、あるいは箱根町の事例のように商談での活用を主目的に据えるといった、優先順位の判断が必要です。
ステップ3:地域固有の切り口を見つける
紹介した5事例に共通するのは、その地域にしかない資源を切り口にしている点です。表面的な観光名所の羅列にはとどまっていません。堺市は人気イラストレーターとのコラボレーション、行田市は足袋産業、相模原市はテック企業と子育て世代の集積、箱根町は四季の変化、京王電鉄は交通手段そのものを軸にしています。
こうした切り口は、地元の歴史や産業、住民の暮らしを取材しなければ見つかりません。過去の実績だけでなく、企画提案の深さや地域取材への姿勢を、外注先の選定段階で確認しておくとよいでしょう。
ステップ4:配信チャネルに合わせて最適化する
同じ素材から作る動画でも、配信先によって最適な形式は異なります。
配信先 | 推奨フォーマット | 制作のポイント |
Webサイトトップ | 横型・60~180秒 | 世界観重視、ループ再生対応 |
YouTube | 横型・1~3分 | シリーズ化、検索キーワード意識 |
TikTok・Instagramリール・Shorts | 縦型・15~30秒 | 冒頭1秒のフック、テロップ必須 |
観光案内所・サイネージ | 横型・無音中心 | 字幕付き、ループ前提 |
相模原市の事例は、この使い分けを最初から想定し、六つの媒体に展開できる形で制作しています。マスター動画を1本作り、そこから複数フォーマットへ派生させる設計を企画段階で組み込んでおくと、追加コストを抑えながら露出機会を増やせます。
ステップ5:公開後に効果を測定する
動画は公開して終わりではありません。再生回数や視聴完了率をYouTubeやSNSの分析機能で確認し、どのセグメントに届いているかを把握します。可能であれば、来訪者へのアンケートで動画が来訪のきっかけになったかを確認し、次回の企画に反映させる流れをつくっておくと、中長期的な改善につながります。
観光PR動画の制作費用と期間の目安
紹介した事例をもとに、費用と期間の目安を整理します。実際の制作事例に基づく数字であり、単体の相場としての提示は避けています。
事例 | 予算目安 | 制作期間 | 制作スタイル |
行田市役所様 | 100万円~ | 1ヶ月~ | 実写(単一ロケーション) |
堺市様 | 300万円~ | 2ヶ月~ | アニメーション(2本制作) |
相模原市様 | 300万円~ | 2ヶ月~ | 実写(複数媒体展開) |
箱根町様 | 300万円~ | 2ヶ月~ | 実写(1年間の四季撮影・多言語対応) |
京王電鉄株式会社様 | 300万円~ | 2ヶ月~ | 実写(5日間ロケ) |
費用差を生む主な要因は、ロケーションの数と期間、多言語対応の有無、制作する動画の本数です。行田市の事例のように単一のロケーションに絞り込めば、100万円台からの制作も可能です。一方、箱根町のように長期間の撮影や多言語ナレーションを含む場合は、300万円台が目安になります。
観光PR動画の制作会社を選ぶ3つの基準
観光PR動画は地域固有性が高いため、外注先の選定がそのまま成果を左右します。発注前に確認したい三つの観点を解説します。
地域を取材して独自の切り口を出せるか
観光PR動画は、地域の観光名所を並べるだけでは差別化できません。地元の歴史や暮らし、隠れた産業を掘り起こし、ターゲットに刺さる切り口に落とし込める企画力があるかを確認しましょう。過去の実績本数だけでなく、企画提案の深さや地域取材への姿勢を、発注前の打ち合わせで見極めることが重要です。
ロケーション撮影の技術と体制があるか
現地の空気感とスケールを伝えるには、撮影技術が差を生みます。自然光を活かしたライティングや、季節・時間帯を計算したロケスケジュールの組み方など、専門性の高い技術が求められます。過去の作品サンプルを確認し、撮影機材や天候待ちへの対応力もあわせてチェックしてください。
配信・効果測定まで伴走できるか
動画は公開して視聴されてはじめて意味を持ちます。チャネル別フォーマットの納品、SNS運用支援、効果測定、改善提案まで対応できる制作会社かどうかを見極めましょう。相模原市の事例のように、複数媒体への展開を前提とした設計を最初から提案できるかどうかも、判断材料の一つになります。
観光PR動画に関するよくある質問
フリー素材だけで観光PR動画は作れますか
自然の風景や汎用的なイメージカットであれば、フリー素材で補える場面もあります。ただし、行田市の足袋工場や相模原市の注目スポットのように、その地域にしか存在しない場所・人・産業は、実際に取材・撮影しなければ映像化できません。フリー素材は補助的な用途にとどめ、地域固有の魅力を伝える部分は撮影で作り込むという使い分けを推奨します。
観光PR動画の適切な尺はどのくらいですか
配信先によって異なります。Webサイトトップやブランディング用途であれば60〜180秒、SNSでの拡散を狙う縦型ショート動画であれば15〜30秒が目安です。一本の動画に複数の目的を詰め込むより、配信先ごとに尺を分けて制作するほうが、視聴完了率は高くなります。
制作にはどのくらいの期間が必要ですか
紹介した事例では1ヶ月〜2ヶ月が目安です。単一ロケーションでの撮影であれば短期間で完結しますが、複数のロケ地を回る場合や、季節ごとの映像が必要な場合は、期間が長くなる傾向があります。
動画の二次利用や権利はどうなりますか
制作会社によって規定が異なるため、発注前に権利の帰属と利用範囲を確認しておく必要があります。広告での再利用や、SNSでの切り出し使用を想定している場合は、その用途を事前に伝え、契約内容に反映してもらいましょう。
まとめ
観光PR動画は、地域や施設の魅力を映像として届け、来訪や誘客のきっかけをつくる手段です。ただし、風景を美しく撮るだけでは成果につながりません。紹介した5事例が示すように、ターゲットと目的を明確にし、その地域にしかない切り口を見つけたうえで、配信チャネルに合わせて最適化することが欠かせません。
制作会社を選ぶ際は、企画力・撮影技術・配信後の伴走力の三つを確認してください。公開後も運用と改善を重ねることで、動画は成果に結びついていきます。
この記事のまとめ
- 観光PR動画は種類ごとに目的と適した配信先が異なる
- 成果を出している事例は、地域固有の資源を切り口にしている
- 費用は100万円台〜300万円台まで幅があり、ロケーション数や多言語対応の有無で変動する
- 制作会社は企画力・撮影技術・配信後の伴走力の三つの基準で選ぶ
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株式会社LOCUSの動画制作・動画活用コンサルティング、YouTubeチャンネルコンサルティング、シニアードなど、会社や事業全般に関して説明をしている資料です。
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監修者
渡邊 友浩(株式会社LOCUS 事業推進グループ チーフ)
2017年、動画制作・動画マーケティング支援を行うLOCUSに入社。営業としてBtoB/BtoC問わず累計80社以上の動画活用を支援。現在は事業推進グループとして、宣伝会議やデジタルハリウッドSTUDIOをはじめ、企業・団体向けセミナーで多数登壇。現場で培った経験をもとに、企業のYouTube活用やブランディング動画など、動画マーケティングの戦略立案と実践的な活用ノウハウを発信し続けている。




