
製造業における動画の活用方法と活用事例
製造業の現場では、「技術や製品そのものには自信があるのに、なぜか伝わりきらない」そんな違和感を抱える場面が増えています。
展示会では、毎回同じ説明をしているはずなのに、反応はまちまち。営業担当によって伝え方が変わり、商談の質にもばらつきが出る。
Webサイトには情報を載せているものの、「結局、何が強みなのか分からない」と言われてしまう。
一つひとつは小さな問題に見えても、積み重なると、
説明に時間がかかる
人に依存した対応から抜け出せない
ノウハウが社内に蓄積されない
発信しているはずなのに、選ばれている実感が持てない
といった状態につながっていきます。
こうした課題は、「営業力が足りない」「広報が弱い」といった個人や部署の問題ではなく、"伝えること"そのものが、これまでと同じやり方では回らなくなってきているという構造的な変化の表れとも言えます。
実際、製造業の多くの企業では、これまで人が担ってきた説明・理解促進・信頼形成といった業務を、別の形に置き換える動きが静かに進んでいます。
その中で、近年注目されている手段の一つが、動画です。営業・教育・採用など、製造業のさまざまな業務で動画が使われ始めています。
本記事では、なぜ今動画活用が注目されているのかを整理し、実際の活用シーンと事例を紹介します。
目次[非表示]
製造業の動画活用が注目される背景
対面前提の営業・展示会モデルが機能しづらくなっている
これまで製造業では、展示会や訪問営業が「顧客に自社を理解してもらう最初の場」でした。営業担当が直接説明し、資料を見せながら徐々に理解を深めてもらう──そうした前提で商談プロセスが設計されてきました。
しかし近年は、このモデルが機能しづらくなっています。
顧客は会う前にWeb上で情報収集を行い、候補企業を絞り込むようになりました。そのため、展示会や初回商談の時点で「何をしている会社なのか」「自社が検討対象に入るかどうか」が、すでに判断されているケースが増えています。
結果として、対面の場だけで最初の理解をつくることが難しくなっているのが実情です。
この変化により、営業の前段階である「会う前に理解してもらう仕組み」の重要性が高まっています。
BtoBでもWeb上での事前理解・比較が当たり前になった
製造業の購買担当者や技術者も、今やWeb検索や動画、事例記事を通じて情報収集を行います。企業サイトや技術ページを確認し、複数社を比較したうえで問い合わせを行うのが一般的になりました。
この段階では、営業担当が直接説明することはできません。つまり、人を介さずに価値や違いを伝える必要があるということです。
一方で、テキストやPDF資料だけでは、
情報量が多く読まれない
専門的すぎて理解されない
他社との差が分かりにくい
といった課題が生じやすくなっています。
その結果、「Web上でどう理解されるか」そのものが競争力になるという状況が生まれています。
技術や強みが"伝わりにくい"という構造的な課題がある
製造業の多くは、高い技術力や独自のノウハウを持っています。しかしそれを言葉で伝えることには、常に難しさが伴います。
「精度が高い」「品質が良い」といった表現は抽象的になりやすい
工程や仕組み、現場の工夫は文章では伝わりにくい
技術資料はあるが、非専門家には理解されにくい
特に、意思決定に関わる購買担当者や経営層は、必ずしも技術の専門家ではありません。そのため、技術的な価値が意思決定に十分に反映されないという状況が起きがちです。こうした背景から、技術や工程を「説明する」のではなく、相手の理解レベルに合わせて"翻訳する"手段が求められるようになっています。
製造業における動画活用のメリット
こうした変化の中で、製造業では「どう伝えるか」「どう理解してもらうか」という点が、これまで以上に成果を左右する要素になっています。
従来の資料や対面説明だけでは、製品や技術の価値を十分に伝えきれない場面も増えてきました。
そこで注目されているのが、動画という手段です。
動画は単なる情報発信ツールではなく、営業・検討・理解・判断といったプロセスそのものを組み替える力を持っています。
本章では、製造業において動画を活用することで、どのような変化やメリットが生まれるのかを営業・マーケティング、採用・ブランディング、社内業務に分けて整理します。
営業・マーケティング|商談前の理解をつくり、商談の質を高める
製造業の営業プロセスでは、これまで展示会や訪問営業が「最初に理解してもらう場」として機能してきました。
しかし現在は、Web検索や事例記事を通じて、商談前にある程度の比較・選別が進んでいるケースが増えています。
動画を活用することで、製品や技術の全体像、強みのポイントを短時間で伝えることができ、商談前の段階で顧客の理解度を一定水準まで引き上げることが可能になります。
営業・マーケティングにおける効果:
商談前に「何ができる会社か」の前提理解をつくる
技術や工程の違いを直感的に伝える
決裁者への情報共有がスムーズになる
商談が「説明の場」から「課題議論の場」へ変わる
製品の使われ方や価値を「読まずに」理解させる
購入前の不安や疑問を事前に解消する
ブランドの世界観や信頼感を視覚的に伝える
結果として、価格以外の軸で選ばれる可能性が高まり、商談の質が向上します。
採用・ブランディング|「中が見えない会社」から脱却する
製造業は、求職者にとって「仕事内容や雰囲気が分かりづらい」と見られがちです。特に若年層や異業種からの転職者にとって、工場や技術職のイメージが持ちにくいという課題があります。
動画を活用することで、
実際の仕事内容や一日の流れ
働く人の表情や職場の空気感
会社の価値観やカルチャー
といった、文章や写真だけでは伝わりにくい要素を具体的に見せることができます。
これにより、応募者の理解度が高まり、入社後のミスマッチ防止にもつながります。また、採用ブランディングとしても、「選ばれる会社」としての発信力強化につながります。
社内業務|知識・説明を属人化させず、再現可能な資産に変える
製造業では、製品理解や業務ノウハウが特定の担当者に集中し、同じ説明や教育が繰り返されているケースが多く見られます。
動画を活用すれば、一度整理した知識や説明を、時間や拠点を問わず共有でき、教育・引き継ぎ・社内展開の負荷を下げることができます。
具体的には、
新人教育や業務引き継ぎの効率化
作業手順や品質基準の標準化
安全教育の徹底と理解促進
ベテラン社員のノウハウの可視化
といった効果が期待できます。
これは単なる業務効率化ではなく、現場の知見を「再現可能な形」で組織に蓄積していくための仕組みづくりと言えます。
製造業における動画活用の具体例
ここまで見てきたように、動画は製造業における営業・理解・判断のプロセスを支える、有効な手段になりつつあります。
ただし、重要なのは「動画を作ること」そのものではありません。
どのフェーズで
どんな課題に対して
何を補完・加速させるために使うのか
を整理せずに導入すると、「作ったが使われない」「効果が見えない」といった状態に陥りがちです。
そこでここからは、抽象的なメリット論ではなく、実際にどの場面で、どのように効いているのかという観点から、営業・マーケティング、採用・ブランディング、社内業務の3つに分けて、「いつ・何に効くのか」を具体的に整理していきます。
営業・マーケティング向け動画活用例

認知・興味喚起フェーズ|「何の会社か分からない」を一瞬で解消する
製造業は、一般消費者や初見の企業にとって「何をしている会社なのかが分かりづらい」という課題を抱えがちです。
WebサイトやSNS、広告などで初めて接触する段階では、詳しい説明よりもまず「理解できそう」「自分に関係ありそう」と思ってもらうことが重要になります。
このフェーズでは、
- 会社・事業紹介動画
- ブランド・世界観動画
- 製品・サービスの全体像を伝える動画
- Web広告用の短尺動画
などが有効です。
動画を使うことで、テキストを読ませる前に事業内容や価値の輪郭を直感的に伝えることができ、接触初期での離脱を防ぐ役割を果たします。
検討・比較フェーズ|技術や価値を"読まずに"理解させる
購入や利用を検討する段階では、顧客は複数の選択肢を比較しています。
このとき、
- 文章が長い
- 情報量が多い
- 専門用語が多い
といった理由で、十分に理解されないまま離脱してしまうケースも少なくありません。
そこで効果を発揮するのが、
- 製品紹介動画
- 技術・製造工程解説動画
- 使い方・HowTo動画
- 工場(設備・品質管理体制)紹介動画
- 利用シーン紹介動画
- 商品誕生ストーリー動画
です。
動画によって「どう使うのか」「どんな価値があるのか」「何が違うのか」を読む負担なく伝えることで、不安や疑問を事前に解消し、購入・発注判断を後押しします。
商談・決裁フェーズ|説明を減らし、議論に時間を使える商談へ
商談フェーズでは、営業担当者の説明負荷や、決裁者への情報共有が課題になります。
この場面で有効なのが、
- 導入事例・お客様の声動画
- 提案用デモ動画
です。
事例動画があれば、「どんな会社が導入しているのか」「どんな成果が出ているのか」を、営業担当者が説明するよりも説得力をもって伝えられます。
また、決裁者が商談に同席できない場合でも、動画であれば情報共有がスムーズになり、社内稟議の通過率向上にもつながります。
社内業務向け動画活用例
教育・研修|属人化を防ぎ、品質を均一化する
製造業では、新人教育や技術伝承が特定の社員に依存しがちです。また、拠点が複数ある場合、教育品質のばらつきも課題になります。
動画を活用することで、
- 新人研修動画
- 作業手順マニュアル動画
- 安全教育動画
- 品質管理基準動画
といった形で、教育コンテンツを「再利用可能な資産」として蓄積できます。
一度作成すれば、いつでも・どこでも・誰でも同じ品質の教育を受けられる環境が整います。
ノウハウ継承|ベテランの技術を組織に残す
熟練社員の退職に伴い、技術やノウハウが失われるリスクは、製造業にとって大きな課題です。
- 技術解説動画
- トラブルシューティング動画
といった形で、ベテラン社員の持つ知見を映像として記録・共有することで、組織としての技術力を維持・継承できます。
採用・ブランディング向け動画活用例
採用広報|「この会社で働きたい」と思わせる
採用市場での競争が激化する中、製造業は「仕事内容が想像しにくい」「働く環境が見えない」という理由で、求職者から敬遠されがちです。
動画を活用することで、
- 社員インタビュー動画
- 一日密着・職場紹介動画
- 会社紹介動画(採用向け)
- 経営者メッセージ動画
といったコンテンツを通じて、働く人の表情や職場の雰囲気、仕事のやりがいを具体的に伝えることができます。
テキストや写真だけでは伝わらない「空気感」を見せることで、応募意欲の向上やミスマッチの防止につながります。
ブランディング|「選ばれる会社」としての認知を形成する
製造業では、技術力はあっても「何が強みなのか」「どんな会社なのか」が外部に伝わりにくいという課題があります。
ブランディング動画を活用することで、
- 企業理念・ビジョン動画
- 創業ストーリー動画
- 社会貢献・SDGs活動動画
といった形で、会社としての姿勢や価値観を発信できます。
これにより、取引先・求職者・地域社会など、さまざまなステークホルダーからの信頼獲得につながります。
製造業で成果につながる動画制作の3つのポイント

動画を「作ること」がゴールではありません。製造業で成果につながる動画を制作するためには、企画・制作・運用の各段階で押さえるべきポイントがあります。
ポイント①目的と活用シーンの明確化
動画を作る前に、まず「どこで・誰が・何のために使うのか」を明確にすることをおすすめします。
整理すべき項目:
- どの業務プロセスで使うのか?
- 営業の初回接触時?商談中?採用説明会?社内研修?
- 誰が・いつ・どこで見るのか?
- 顧客?求職者?社内スタッフ?
- オフィスで?移動中に?自宅で?
- 視聴後にどう行動してほしいのか?
- 問い合わせ?資料請求?応募?作業の実行?
この整理が曖昧なまま制作を進めると、「誰に向けた動画なのか分からない」「作ったが使われない」という状態に陥りがちです。
ポイント②ターゲットの理解レベルの見極め
同じ製品・技術を説明するにしても、視聴者の前提知識によって伝え方は大きく変わります。
考慮すべき点:
- 専門知識の有無
- 技術者向け?購買担当者向け?経営層向け?一般消費者向け?
- 情報の提示順序の設計
- 結論から入るか?背景説明から入るか?
- 段階的理解の導線づくり
- 1本で完結させるか?シリーズ化するか?
特に製造業では、「技術者には響くが、決裁者には伝わらない」といったミスマッチが起きがちです。
視聴者の立場に立って、「この人は何を知りたいのか?」「どこで引っかかりそうか?」を想像しながら設計することが重要です。
ポイント③視覚的説明の優先
製造業の強みや技術は、言葉だけでは伝わりにくいことが多いです。
動画の最大の強みは「視覚的に伝えること」。
この特性を活かし、可能な限り視覚的にわかりやすく表現することを意識します。
視覚化のポイント
- 工程や仕組みは映像で見せる
- 製造工程、組み立て手順、品質検査の様子など
- 数値や性能は比較可能な形で
- グラフ、図解、ビフォーアフター、競合比較
- 抽象的な「強み」を具体的なシーンに
- 「高品質」→ 実際の検査工程を見せる
- 「対応力」→ 実際の打ち合わせ風景を見せる
「言葉で説明する」のではなく「ビジュアルで見せる」ことを意識すると、より効果を発揮する動画となります。
製造業の動画活用事例
ここまで、製造業における動画活用について、「どのフェーズで、何を補完・加速させるのか」という視点で整理してきました。
ここからは、製造業の現場で実際に動画がどのように活用されているのか、具体的な事例をもとに見ていきます。「どの課題に対して、なぜその動画が選ばれたのか」に注目しながら、自社に置き換えて考えるためのヒントを整理していきます。
製造業界の参考事例5選
製造業界の参考事例 ①三井化学
三井化学は、化学素材を中心に幅広い事業を展開する大手化学メーカーです。
本動画では、三井化学の事業領域や技術、社会との関わりを、映像とナレーションを通じて紹介しています。
工場や研究現場の映像に加え、「化学で社会課題に向き合う」という企業姿勢が丁寧に描かれている点が特徴です。
事業内容の理解だけでなく、企業としてのスタンスや価値観を伝えることで、 理解と共感の土台を先につくる会社紹介映像となっています。
製造業界の参考事例 ②トヨタ自動車
トヨタ自動車は、日本を代表する自動車メーカーです。
本動画は、「クルマづくり」の全体像をエピソード形式で解説するシリーズの第1話として、製造工程の入り口部分を紹介しています。
ナレーションと映像を組み合わせながら、工程の意味や役割を順序立てて説明しているのが特徴です。
専門知識の有無に関わらず理解できる構成で、トヨタのものづくり思想や品質へのこだわりが伝わる内容になっています。
製造業界の参考事例 ③湖池屋
湖池屋は、スナック菓子を中心とした食品メーカーです。
本動画では、湖池屋の工場内で実際に製品が製造される工程を、製造ラインに沿って紹介しています。
原材料の加工から包装までの流れをテンポよく見せる構成で、製造の丁寧さや衛生管理への配慮が自然と伝わります。
普段目にすることのない製造の裏側を可視化することで、説明を最小限にしながら、製品への安心感や信頼感につながる動画です。
DMG森精機は、工作機械の製造・販売を手がける大手メーカーです。
本動画では、 DMG森精機の工作機械を用いて、金属部品が加工されていく様子を映像で紹介しています。
ナレーションや説明をあえて入れず、機械の動きや加工精度そのものにフォーカスした構成が特徴です。
加工の正確さや機械性能が直感的に伝わり、製品への信頼感を高める動画となっています。
製造業界の企業様のLOCUS制作実績
①株式会社小野測器様
動画の種類 | 商品紹介動画 |
特徴 | BtoB向けの計測機器という特性上、製品の価値や強みが専門知識なしでは伝わりにくいという課題に対して、製品スペックの羅列ではなく、「どのようなシーンで、どのような精度が求められているのか」を軸に構成しました。 |
②パイオニア株式会社様 サービス紹介動画
動画の種類 | サービス紹介動画 |
特徴 | 機能や仕組みを文章で説明すると複雑になりやすいという課題に対して、サービスの詳細説明よりも、「移動体験がどう変わるのか」をストーリーとして描いています。 |
③アマノ株式会社様 会社紹介動画
動画の種類 | 会社紹介動画 |
特徴 | 事業領域が幅広く、文章だけでは会社全体の姿が伝わりにくいという背景から、会社案内動画を制作しました。事業内容の説明に加え、「どのような思想で製品・サービスを提供しているのか」を丁寧に描いています。 |
④株式会社ミマキエンジニアリング様 製品紹介動画
動画の種類 | 商品紹介動画 |
特徴 | 展示会という限られた時間・環境の中で、製品の魅力を瞬時に伝える必要があるという課題に対し、製品の特長を細かく説明するのではなく、動作やアウトプットを中心に構成しています。 |
⑤日立建機株式会社様 商品紹介動画
動画の種類 | 商品紹介動画 |
特徴 | 性能や価値がカタログだけでは伝わりにくいという課題に対して、実際の稼働シーンを通じて、製品のスケール感や信頼性を訴求しています。 |
まとめ
この記事では、製造業における動画活用を「対象者」と「業務フェーズ」の視点で整理してきました。
ただ、実際には
- どの業務に当てはめるのが良いのか
- どこまで動画で代替できそうか
- 今の課題感は、動画で解決すべきものなのか
は、会社ごとに状況が異なります。
LOCUSでは、動画を作る前提ではなくとも、「どの業務で・どんな負荷を減らせそうか」を整理する壁打ちの時間をご用意しています。
「今すぐ制作したいわけではないが、考え方だけ聞いてみたい」そんな段階でも、お気軽にご相談ください。
無料 お問い合わせフォームはこちら>>

監修者
渡邊 友浩(株式会社LOCUS 事業推進グループ チーフ)
2017年、動画制作・動画マーケティング支援を行うLOCUSに入社。営業としてBtoB/BtoC問わず累計80社以上の動画活用を支援。現在は事業推進グループとして、宣伝会議やデジタルハリウッドSTUDIOをはじめ、企業・団体向けセミナーで多数登壇。現場で培った経験をもとに、企業のYouTube活用やブランディング動画など、動画マーケティングの戦略立案と実践的な活用ノウハウを発信し続けている。




