
YouTube「スーパーチャット」の仕組みは?投げ銭のやり方や送れる金額を解説
YouTubeの「スーパーチャット(通称:スパチャ)」と聞くと、エンタメやゲーム実況のイメージが強いかもしれません。しかし、BtoBマーケティングの視点で見れば、これは単なる投げ銭システムではなく、「視聴者の熱量をリアルタイムで可視化する強力なコミュニケーションツール」です。
昨今、ウェビナーや製品発表ライブを導入する企業が増えていますが、「視聴者の反応が見えにくい」「一方通行の配信になってしまう」という課題を抱える担当者様は少なくありません。スーパーチャットを戦略的に活用することで、視聴者を単なる「閲覧者」から、自社を熱心に応援する「ロイヤルカスタマー」へと変貌させることが可能です。
本記事では、動画活用のプロであるLOCUSが、スーパーチャットの基礎知識から設定方法、さらにはBtoB企業が導入する際に必ず押さえておくべきメリット・デメリットを簡潔に解説します。貴社のライブ配信戦略を成功させるためのヒントとしてご活用ください。
BtoB企業がスーパーチャットを導入すべき3つの戦略的理由
BtoBにおけるスーパーチャットは、単なる「寄付」ではありません。ライブ配信の双方向性を高め、視聴者のエンゲージメントを数値化するための戦略的投資です。具体的には、以下の3つのメリットを期待できます。
Q&Aの優先順位を可視化し、ウェビナーの満足度を向上させる
参加人数の多いウェビナーでは、全ての質問に応答するのは困難です。スーパーチャットを「優先質問権」として位置づけることで、視聴者は自身の課題を解決するチャンスを得られ、主催者側はニーズの強いトピックを即座に特定できます。これにより、配信全体の満足度を底上げすることが可能です。
投げ銭を「開発支援」や「社会貢献」に充て、ブランドイメージを強化する
BtoB企業が収益を直接受け取ることに抵抗がある場合、集まった資金の使途を明確にすることをおすすめします。「次世代の製品開発費」や「業界団体の支援」に充てることを公表すれば、視聴者と共にサービスを育てる「共創」の姿勢を打ち出すことができ、ブランドへのロイヤリティ向上に繋がります。
リアルタイムな反応をデータ化し、インサイドセールスの打診精度を高める
どのタイミングで、どのような属性のユーザーがスパチャ(=強い反応)を送ったかを分析することで、視聴者の熱量を可視化できます。これは配信後のフォローアップにおける優先順位付けの貴重なデータとなり、インサイドセールスの成功率を高める鍵となります。
配信者にスパチャを贈る
スパチャは、ライブ配信中に動画の配信者に贈ることができる投げ銭システムです。動画アップロード型の普通のYouTube配信には使えません。また、プレミアム公開の動画でも使用でき、やり方は簡単です。
・ライブ配信中の動画を視聴する
↓
・チャット欄の¥マークをタップ

↓
・Super Chatを選択、金額とコメントの入力欄を表示

↓
・購入して送信をタップ

↓
・支払い方法を選択して決定
スパチャの価格帯と色
動画コンテンツに投げ銭ができる金額は、デバイスによって変わります。
・Android 100円~50,000円
・iOS 120円~12,000円
上記の価格の範囲内で価格設定ができます。送信したコメントはしばらくの間固定されて表示されます。固定される時間は、金額が高いほど長く、安いほど短く設定されています。
1日の投げ銭できる金額の上限は50,000円までです。スパチャの色も価格によって変化します。

多額のスパチャをするほど目立つ色で長く表示されるので、配信者や視聴者に気づいてもらいやすくなりますし、金額も表示されるので、配信者は多額の投げ銭をしてくれたファンに対してリアクションしやすくなるのです。
スパチャを行うにはクレジットカードの登録が必要です。
・クレジットカード
・デビットカード
・バンドルカード
・PayPal
・キャリア決済
いずれかの決済方法を登録すれば投げ銭が使えるようになります。
動画の配信者がスパチャを受けとる方法
収益化の条件
スパチャを受けとるには、一定の条件を満たさなければいけません。
・過去1年間で4,000時間以上再生
・18歳以上
・チャンネル登録者数1,000人以上
・スパチャ利用可能な地域在住
・コミュニティガイドラインに違反していない
・YouTubeパートナープログラムメンバー
YouTubeのいわゆる収益化の条件なのですが、スパチャも広告による収益化と同じタイミングで利用が可能になります。
ライブ配信を売りにしているYouTuberには非常に有益な機能になります。動画配信の再生回数による収益だけではなく、投げ銭による収益が追加されることで、より多くの収益を得ることができるようになります。
また、フォロワーがそれほどいなくてもファンが熱狂的であれば、高めの投げ銭を投げてくれる可能性もあり、インフルエンサーの収益の可能性を広げてくれます。
設定方法

・YouTube Studioにログイン
・メニューから「収益受け取り」をタップ
・メインダッシュボード上部メニューより「Supers」をタップしてSuper Chatを有効にする。
収益
スパチャの売り上げは、すべてを受け取ることができるわけではありません。売り上げの70%を配信者が受けとることができます。30%は手数料として運営に差し引かれます。また、iOSアプリを使用している場合は、Appstore手数料が別途appleから約20%さらに引かれます。
つまりiOSアプリを利用すると全体の約50%が手数料として引かれてしまうのです。多くの場合が、50%以上を差し引かれます。裏技としてアプリを利用せずにsafariなどでログインして投げ銭をすると、appleから手数料は引かれずに投げ銭をすることが可能だそうです。
iOSアプリから投げ銭する金額の設定が少し中途半端になってしまうのは、手数料を加算した上で、割り切れる価格設定にするためです。
収益の受け取り
前月の収益額が翌月の前半に確定し、後半に支払い処理が行われます。スパチャだけではなく、広告再生などの収益すべてがまとめて支払いされます。
スーパーチャットランキング
スパチャで大金を稼ぐインフルエンサーは必ずしも登録者数と比例していません。 ライブ配信を得意とするVTuberは必然的にスパチャでの売り上げも高い傾向にあります。
1位 ゲーム実況 加藤純一
https://www.youtube.com/@junchannel

チャンネル登録者数 118万人 売上額 2億4,055万円
Eスポーツチーム「ムラッシュゲーミング」オーナー。
裏表のないあけすけな発言とユーモラスな実況で人気となった。別名うんこちゃん。
2位 NIJISANJIEN VTuber VoxAkuma
https://www.youtube.com/@VoxAkuma

チャンネル登録者数 132万人 売上額 1億4,671万円
過去からやってきた最強の悪魔を名乗るVTuberグループNIJISANJIENのメンバー。
ゲーム配信や雑談配信を行う。
3位 VTuber 沙花叉クロヱ
https://www.youtube.com/@SakamataChloe

チャンネル登録者数 108万人 売上額 1億1,847万円
VTuberグループホロライブ6期生「秘密結社holoX」の掃除屋。
スパチャは、動画の再生数と違って実際に金額表示されているので、数字が明らかにわかります。チャンネル登録者数で言えば、もっと上がはるかにいますが、ゲーム配信をはじめとするVTuberの視聴者が、実はスパチャの収益をもっとも有効活用しているのです。
トップの売上が年間で2億円ということは、動画再生数から得られる収益も含めたら相当なものだと考えられます。ちなみに加藤純一さんは2023年に1日で2億1,500万円ものスパチャを受けとり、世界一を記録しています。
Super Stickersとは?
Super Stickersは、2019年に導入されたサービスで、やはり動画のライブ配信中にコメント欄に貼り付けできるスタンプ機能です。コミカルなアニメキャラのスタンプが贈れるので、動画配信者を応援するための投げ銭だけでなく、サポートメッセージをユーモラスに伝えることができます。
Super Stickersの利用方法や受け取り方法は原則スパチャと同じです。Super Chatと隣合わせで表示されるので、同じ方法で設定すれば利用できます。
違う点は、スパチャが金額設定をある程度自分で設定できるのに対してSuper Stickersは、あらかじめ決められたステッカーの金額を支払って使う点にあります。高いステッカーになるほど装飾が多く、派手で目立ちます。アニメーションとして動き出すものまであります。
スパチャよりも動画配信者に対して感動や情感を伝えやすい傾向にあります。動画 視聴者と配信者のコミュニケーションこそが、ライブ配信の醍醐味なので、さまざまな表現手法があることが、魅力的な配信につながります。
プレミア公開
概要
YouTubeには、配信日時をあらかじめ設定して配信するプレミアム公開機能があります。公開前からサムネイルが表示され、テレビ番組のように時間になったら視聴できる機能です。
YouTubeプレミアムと勘違いされやすいですが、全く違う機能です。YouTubeプレミアムは、視聴者が広告を見ることなく快適に動画を視聴できる有料の視聴機能であり、プレミアム公開は、配信者が時間を決めて配信する機能です。
プレミアム公開では、スパチャやSuper Stickersなどの投げ銭機能を利用することができます。ライブ配信ではないにも関わらず、チャット機能が開放されるのです。
チャット機能は、プレミアム公開終了後に閉じられてしまいますが、アーカイブ上で表示/非表示を選択することができます。
プレミアム公開後は、チャット機能は使えませんが、コメント機能は通常の動画同様にいつでも使うことができます。 録画を配信した上でスパチャを使えるので、うまく使えば多くの収益を得ることができる機能です。
活用方法
プレミアム公開は、通常の配信動画よりもスペシャルなコンテンツを発信する時に効果的です。
例えば…
・新しい音源発表するミュージシャン
・新商品を発売するインフルエンサーや企業
・大事なお知らせ
・イベントの告知
・講義などの勉強会
など
事前告知
通常の配信と違ってイベント性が高いので、SNSなどで告知をしたり、予告動画を出しておくことで集客率を通常以上に高めることが可能になります。
ショート動画などをつくり、YouTubeだけでなくTikTokやツイッターで告知することで、幅広い視聴者にアクセスしてもらうことが可能になります。
通常の配信やライブ配信と差別化してスペシャルなコンテンツを発信することで、視聴者に新たな視点で楽しむ喜びを与えることができます。
ライブ配信と同じように双方向でコミュニケーションをすることができるので、エンタメ性の高いやりとりが可能になります。
ライブ配信は苦手だが、動画コンテンツにまとめるのは得意だという配信者にとっては、非常に有益なサービスと言えます。
YouTubeスーパーチャット活用に関するよくある質問(FAQ)
YouTubeのスーパーチャット(投げ銭)は、視聴者とのエンゲージメントを高める強力なツールですが、法人、特にBtoB企業が導入するとなると「ブランドイメージ」や「社内ルール」の観点から慎重になるケースも少なくありません。
そこで本項では、企業のライブ配信活用において担当者様が直面しやすい5つの主要な疑問点について、実務に即した解決策とともに回答します。自社での運用を具体的にイメージしながら、導入のヒントとしてご活用ください。
Q1. BtoB企業が「投げ銭」を受け取るのは、ブランドイメージを損なわないでしょうか?
YouTubeのスーパーチャット機能は、視聴者とのエンゲージメントを高める強力なツールですが、企業として導入するには運用ルールやリスク管理の観点で不安を感じる方も多いでしょう。ここでは、特にBtoB企業のご担当者様からご相談いただくことの多い、ブランドへの影響や実務的な運用課題について回答します。
Q1. BtoB企業が「投げ銭」を受け取るのは、ブランドイメージを損なわないでしょうか?
結論から申し上げますと、活用の「目的」を明確に伝えれば、ブランド毀損のリスクは最小限に抑えられます。
BtoB企業の場合、収益そのものを目的とするのではなく、「頂いたスパチャは、次回のセミナー品質向上や、業界の発展を目的としたコンテンツ制作費に充当する」といった姿勢を明示することが重要です。視聴者にとっては「応援」や「参加」の証となり、むしろコミュニティの結束を強める効果が期待できます。金銭の授受に抵抗がある場合は、金額の多寡ではなく「質問を優先的に拾うための機能」として位置づけるのがLOCUS流の推奨スタイルです。
Q2. スパチャで得た収益の会計処理や税務上の扱いはどうなりますか?
企業として受け取る収益は、原則として「営業外収益」などの収益として計上し、課税対象となります。
YouTube(Google)からの支払額は、手数料(約30〜50%)が差し引かれた後の金額となります。経理上の処理としては、支払通知書に基づき、実際に振り込まれた金額を収益として計上するのが一般的ですが、詳細な仕訳については貴社の顧問税理士にご確認ください。また、Apple(iOSアプリ)経由では手数料がさらに高くなるため、高額な支援を想定する場合は、PCブラウザからの利用を推奨するなどのアナウンスを検討しても良いでしょう。
Q3. ライブ配信中に誹謗中傷や不適切なコメントが投稿されるリスクへの対策は?
YouTube Studioの「ブロック設定」と「モデレーター機能」を活用することで、リスクを大幅に軽減できます。
あらかじめ「NGワード」を登録しておくことで、不適切なコメントを自動的に非表示にすることが可能です。また、自社のスタッフを「モデレーター」として指名し、リアルタイムで不適切な発言を削除・ブロックする体制を整えましょう。BtoBの現場では、ブランドセーフティを担保するために、コメントを「承認制」に近い形で管理する、あるいは信頼できるユーザーのみを許可する設定が推奨されます。
Q4. チャンネル登録者数が1,000人に満たない場合、代替手段はありますか?
スパチャの代替として、外部の決済システムやアンケートツールの活用が有効です。
YouTubeの収益化条件をクリアしていない段階では、チャット欄にアンケートフォームのリンクを貼り付けたり、独自の「応援チケット」を外部サイト(Peatixや自社決済サイトなど)で販売したりする方法があります。ただし、YouTubeの規約上、プラットフォームを介さない直接的な課金誘導は制限される場合があるため、あくまで「資料ダウンロードの対価」や「事後のセミナー参加費」といった形式をとるのが無難です。早期の条件達成に向けて、まずは動画の総再生時間を伸ばすためのVSEO対策に注力することをおすすめします。
Q5. プレミアム公開でもスパチャを導入するメリットは何ですか?
「ライブ配信の緊張感」と「編集済み動画のクオリティ」を両立できる点が最大のメリットです。
完全なライブ配信はトラブルのリスクが伴いますが、プレミアム公開であれば事前に編集した完成度の高い動画を配信しつつ、リアルタイムで視聴者とチャット交流ができます。担当者様も配信中はチャット対応に専念できるため、視聴者からの質問に対して丁寧にスパチャで応えるといった、質の高いコミュニケーションが可能になります。イベント性の高い新製品発表会や、教育系コンテンツの初公開時に非常に相性が良い手法です。
まとめ:スーパーチャットを「信頼の可視化」に活用する
BtoB企業におけるスーパーチャット活用の本質は、収益獲得ではなく「顧客とのエンゲージメント(信頼関係)の深化」にあります。
ライブ配信を通じて視聴者の「声」や「熱量」をダイレクトに受け取る仕組みは、ブランドへの親近感を醸成し、双方向のコミュニティ形成に大きく寄与します。一方で、企業イメージを損なわないための運用ルール作りや、手数料の仕組みを理解した戦略的な視点も不可欠です。本記事の重要ポイントを改めて整理します。
- 双方向性の確保:視聴者の反応をリアルタイムで把握し、配信の質を向上させることができる。
- ロイヤリティの向上:「応援」を可視化することで、視聴者の参加意識と帰属意識を高められる。
- 戦略的運用の徹底:ブランドセーフティを守るため、事前の設定と社内ポリシーの整備が成功の鍵となる。
スーパーチャット機能は、単なる収益化ツールとしてではなく、企業のファンを育てるための「コミュニケーション装置」として捉えるべきです。まずは自社のライブ配信の目的を再定義し、「投げ銭」というインタラクションがブランドイメージにどうプラスに働くかをシミュレーションすることから始めてみてください。一過性の盛り上がりではなく、長期的な信頼関係を築くための動画活用こそが、企業の資産となります。
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