
ECサイトの動画活用ガイド|動画コマースの基礎から効果・事例まで解説
ECサイトの売上を伸ばす次の一手として、動画の活用を検討している担当者の方は多いのではないでしょうか。商品写真と説明文の改善を重ねても、質感や使用感まではなかなか伝わりません。動画なら、静止画では届かない情報を数十秒で買い手に届けられます。
本記事では、動画コマースの基礎知識から、導入効果の根拠となるデータ、動画の種類と配置場所の選び方、実際の制作事例までを解説します。20,000本以上の動画制作実績を持つLOCUSが、EC担当者の導入判断に必要な情報を整理しました。
この記事でわかることは次の4点です。
- 動画コマースの基礎知識
- 導入効果の根拠データ
- 動画の種類と配置の選び方
- 制作を外注する際の判断基準
目次[非表示]
ECサイトにおける動画活用とは?
ECサイトの動画活用を調べると、動画コマースや動画ECという言葉に行き当たります。まずはこれらの用語を整理し、動画活用の全体像をつかみましょう。
動画コマース・動画ECとは
動画コマースとは、ECサイトで動画を使って商品の魅力を伝え、購買につなげる販売手法の総称です。商品詳細ページに掲載するデモ動画から、スタッフが着こなしを紹介する動画、SNSで配信するショート動画まで、購買を目的とした動画活用の全体を指します。
動画ECもほぼ同じ意味で使われています。厳密な定義の違いはなく、どちらもテキストと静止画が中心だったECサイトに、動画という情報量の多い伝達手段を組み込む取り組みだと理解すれば十分です。
アパレルや食品、化粧品のように、質感や使用感が購買の決め手になる商材ほど動画との相性は良好です。実店舗なら手に取って確かめられる情報を、動画がオンライン上で代替します。
ライブコマースとの違い
動画コマースと合わせて語られることが多いのがライブコマースです。両者の違いは配信形態にあります。
項目 | 動画コマース(録画型) | ライブコマース |
配信形態 | 制作した動画を掲載・配信 | リアルタイムのライブ配信 |
視聴者との関係 | 一方向。いつでも視聴できる | 双方向。コメントで質問に即答できる |
運用負荷 | 制作後は掲載するだけ | 配信のたびに出演者・機材・集客が必要 |
向く用途 | 商品説明・ハウツーの常設 | 新商品発表・セール・ファン向け企画 |
録画型の動画コマースは、一度制作すれば商品ページで継続的に働き続けます。ライブコマースは瞬発力に優れる一方、配信体制の構築と集客が毎回必要です。動画活用の土台としては、まず録画型から整えるのが現実的な順序です。
ECサイトで動画活用が広がる背景
消費者の情報収集手段は、すでに動画へ大きく移行しています。Wyzowlの調査では、消費者の98%が商品やサービスを知るために説明動画を視聴した経験があると回答しました。Fireworkの調査でも、68%の消費者が商品について学ぶ際にテキストより動画を好むと答えています。
企業側の投資も拡大しています。サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査によると、国内動画広告市場は2025年に8,855億円へ成長し、2026年には1兆円を突破する見込みです。買い手も売り手も動画を前提に動き始めており、ECサイトだけがテキストと静止画にとどまる理由はなくなりつつあります。
ECサイトに動画を導入する効果
動画の導入がECサイトにもたらす効果は、大きく3つに分けられます。順に見ていきましょう。
コンバージョン率が向上する
動画導入の効果として最も期待できるのがコンバージョン率(CVR)の改善です。Digital Appliedがまとめた業界データでは、ランディングページに動画を埋め込むと、テキストのみのページと比べてCVRが最大86%向上したと報告されています。
購買行動への影響を示すデータもあります。Animotoの調査では、84%の消費者がブランドの動画を視聴した後に商品購入を決断した経験があると回答しました。動画は認知から購入直前まで、購買ファネルの各段階で背中を押す働きをします。
とくに機能性の高い商品や、使い方にコツがある商品では効果が出やすくなります。30秒から1分の短い動画でも、購入の決め手になる情報は十分に凝縮できます。
商品理解が深まり返品・問い合わせが減る
ECの返品理由で目立つのが「思っていた商品と違った」という期待値のギャップです。サイズ感、素材の質感、色味、使い方。静止画と説明文だけでは、こうした情報の伝達に限界があります。
動画はこのギャップを購入前に埋めます。着用シーンや使用手順を映像で見せておけば、届いた商品が想像と違うという事態を減らせます。返品には送料や検品、再在庫化のコストが伴うため、返品率がわずかに下がるだけでも利益への影響は小さくありません。
使い方の疑問を動画で先回りして解消しておけば、カスタマーサポートへの問い合わせも減ります。売上を伸ばす攻めの効果と、コストを抑える守りの効果。動画はこの両面でECサイトの収益に貢献します。
集客チャネルが広がる
ECサイトに掲載した動画は、サイトの外でも働きます。YouTubeにアップロードした動画をサイトに埋め込む方式なら、YouTube検索やレコメンド経由の流入という新しい入口が生まれます。
Instagram ReelsやTikTokなどのショート動画も有力な集客経路です。Digital Appliedのデータでは、短尺動画の完視率は85%と、中尺の62%や長尺の38%を大きく上回ります。商品ページ用に制作した動画を短尺に再編集してSNSへ展開すれば、1本の制作費で複数のチャネルをカバーできます。
ECサイトで活用できる動画の種類と活用場所
動画は種類と配置場所の組み合わせで成果が変わります。何を作るかと、どこに置くかをセットで設計しましょう。
動画の種類と目的
ECサイトで使われる主な動画は次の5種類です。
動画の種類 | 活用シーン・目的 | 期待できる効果 |
商品紹介・デモ動画 | 商品詳細ページで機能・使い方を説明 | CVR向上、商品理解の促進 |
ハウツー・解説動画 | 購入後の使い方やお手入れ方法を案内 | 返品率低下、問い合わせ削減 |
レビュー・インタビュー動画 | 利用者の声で信頼を醸成 | 購入の後押し、ロイヤルティ強化 |
ブランドストーリー動画 | ブランドの世界観や背景を訴求 | 認知向上、ファン形成 |
ライブコマース | リアルタイム配信で販売 | 即決の促進、ファンとの関係構築 |
最初の1本には商品紹介動画を推奨します。主力商品の詳細ページに置けば効果測定がしやすく、社内で動画活用の手応えを示す材料にもなるためです。冒頭数秒で興味を引くカット、続いて全体像とサイズ感、最後に使い方のデモという流れが定番の構成です。
商品紹介動画の企画や構成の詳しい作り方については、LOCUSの商品紹介動画の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
掲載場所ごとの最適な配置
同じ動画でも、置く場所によって効果は変わります。CVRへの直接的な影響を狙うなら、商品詳細ページのファーストビューへの配置が最有力です。ページを開いた瞬間に動画が目に入れば、離脱を防ぎながら商品への関心を高められます。
LPでは、冒頭にブランドストーリー動画で世界観を伝え、中盤に商品デモ、下部に利用者インタビューという流れの設計が機能します。トップページに置くなら、サイト全体の印象を決める15〜30秒のブランドイメージ動画が適しています。
ライブコマース・ショート動画の位置づけ
ライブコマースの数字は魅力的です。Fireworkのデータでは、ライブショッピングのCVRは9〜30%と、通常のECサイトの2〜3%を大きく上回ります。
ただし飛びつく前に運用負荷を確認してください。出演者の確保、配信環境の構築、毎回の集客。これらを継続できる体制がなければ、単発の配信で終わってしまいます。録画型の動画で商品ページを整え、動画制作と効果測定の経験を積んでから、相性の良い商材でライブコマースを試す順序を推奨します。
ショート動画は、商品ページ用動画の再編集から始めるのが効率的です。縦型フォーマットへの変換と冒頭のフック設計だけでも、SNS向けのコンテンツとして機能します。
ECサイトの動画制作事例(LOCUS実績)
ここからは、LOCUSが実際に制作したECサイト関連の動画事例を紹介します。どの事例も、静止画では伝わらない何かを抱えていたという課題から出発しています。
事例1:株式会社バンズダイニング様
業種・業界 | レジャー・飲食・サービス |
動画の用途 | 商品プロモーション・ECサイト掲載動画 |
制作スタイル | 実写 |
予算目安 | 100万円〜 |
制作期間 | 1ヶ月〜 |
活用場所 | Webサイト・YouTubeチャンネル・SNS |
動画の概要・制作のポイント:
食品は、素材の良さや温度感が静止画で最も伝わりにくい商材のひとつです。この動画では食欲を刺激する映像表現を実現するため、照明設計と色味の調整に徹底的にこだわりました。ECサイトへの掲載を主軸としながら、YouTubeチャンネルやSNSでも使えるマルチチャネル展開を前提に設計しています。
成果・活用の特徴:
1本の動画で複数のデジタル接点をカバーできる設計により、制作費に対する活用範囲を最大化しています。商品の魅力を視覚と聴覚で伝えることで、静止画のみの商品ページとの差別化を実現した事例です。
事例2:株式会社アクシス様(Joy.coco)
業種・業界 | 食品・化学・化粧品 |
動画の用途 | 商品紹介・ECサイトメイン動画 |
制作スタイル | アニメーション |
予算目安 | 100万円〜 |
制作期間 | 1ヶ月〜 |
活用場所 | Webサイト |
動画の概要・制作のポイント:
スキンケアブランド「Joy.coco(ジョイココ)」の主力商品、スクラブハンドソープの商品紹介動画です。化粧品は成分の働きや使用感をテキストで伝えることが難しい商材です。そこでアニメーションを採用し、成分の働きと使用シーンを視覚的に表現しました。
成果・活用の特徴:
公式通販サイトのメイン動画として掲載され、購入を検討するユーザーの疑問や不安を先回りして解消する役割を担っています。実写では撮影できない成分レベルの説明を可視化できる点が、アニメーションを選択した理由です。
ECサイトに動画を埋め込む方法と技術面の注意点
動画の効果を最大化するには、掲載時の技術面にも目を配る必要があります。設計を誤ると、動画がかえってサイトの足を引っ張ります。
動画の埋め込み方法
動画ファイルをECサイトのサーバーへ直接アップロードする方法は避けてください。ページの読み込みが遅くなり、離脱の原因になります。
標準的なのは、YouTubeやVimeoなどの外部プラットフォームにアップロードした動画を埋め込む方式です。サーバーへの負荷を抑えながら、スムーズな再生環境を提供できます。YouTubeを使えば、YouTube検索経由の流入という副次効果も得られます。カートシステムによっては動画コマース専用ツールとの連携機能もあるため、自社のECプラットフォームの対応状況を確認しておきましょう。
表示速度・スマホ対応・自動再生の設定
技術面で確認すべき項目は次のとおりです。
- 表示速度:動画は遅延読み込み(レイジーロード)を設定し、ページ表示への影響を抑える
- スマホ対応:ECサイトの閲覧はスマートフォンが過半を占めるため、縦型・正方形フォーマットも検討する
- 自動再生:モバイル環境の通信量に配慮し、ミュート状態での自動再生にとどめる。音声はユーザー操作で再生する設計にする
- 公開状態の管理:YouTube埋め込みの場合、元動画が非公開になると商品ページの動画も表示されなくなるため、定期的に確認する
ECサイト向け動画の制作を外注する際のポイント
社内に動画制作のスキルを持つ人材がいない場合、外部パートナーへの依頼が現実的な選択肢になります。ここでは外注先を選ぶ判断基準と、失敗しにくい進め方を紹介します。
制作会社を選ぶときの確認ポイント
制作費の安さや実績数だけで選ぶと、期待した効果が得られないリスクがあります。確認すべき項目を整理しました。
チェック項目 | 確認すべき内容 | 注意点 |
EC領域の制作実績 | 商品動画・EC掲載動画の具体的な事例 | 実績の数だけでなくEC文脈での経験を確認 |
企画力・マーケティング視点 | ターゲット分析や配置戦略の提案有無 | 映像の美しさだけでは成果に直結しない |
運用サポートの有無 | 効果測定・改善提案まで対応可能か | 納品して終わりの会社は避ける |
費用の透明性 | 見積もりの内訳が明確か | 追加費用の発生条件を事前に確認 |
コミュニケーション体制 | 担当者の専任有無、修正回数の上限 | レスポンスの速さも品質の一部 |
なかでも優先すべきはEC領域の制作実績です。テレビCMや企業紹介動画の実績が豊富でも、商品ページでの比較検討やカート追加といったEC特有のユーザー行動を理解していなければ、CVRに効く動画は作れません。
小さく始めて検証する進め方
最初から全商品に動画を展開するのは推奨しません。売上インパクトの大きい主力商品1〜3点に絞り、商品詳細ページのファーストビューに30秒〜1分の商品紹介動画を置く。ここから始めるのが、投資リスクを抑えた進め方です。
効果検証には、CVR、動画の再生完了率、返品率、ページ滞在時間の4指標を設定してください。動画の導入前後でこれらを比較すれば、投資判断の材料が数字で手に入ります。商品ページに「動画あり」と「静止画のみ」のパターンを用意するA/Bテストも、効果を証明する手段として機能します。
検証で効果が確認できたら、対象商品を広げるか、ハウツー動画やSNS用ショート動画へ種類を増やすかを、数字に基づいて判断します。この進め方なら、社内の予算確保にも説得力のある根拠を示せます。
ECサイトの動画活用に関するよくある質問
動画の長さはどれくらいが適切ですか
商品詳細ページに置く商品紹介動画は30秒〜1分を推奨します。購入の決め手になる情報に絞れば、この長さで十分伝わります。SNSへの展開を想定する場合は60秒未満の短尺に再編集してください。短尺動画の完視率は85%と、長い動画より最後まで見てもらえる確率が高くなります。
YouTube用に作った動画をECサイトに流用できますか
流用できます。YouTubeにアップロードした動画をECサイトへ埋め込む方式は、サーバー負荷の面でもむしろ標準的な方法です。ただし、YouTube向けの長い導入部は商品ページでは離脱要因になるため、冒頭から本題に入る再編集を推奨します。埋め込み元の動画を非公開にすると商品ページでも再生できなくなる点には注意してください。
動画の効果が出やすい商材はありますか
質感・使用感・動きが購買の決め手になる商材ほど効果が出やすくなります。具体的には食品、化粧品、アパレル、機能性のある雑貨や家電などです。静止画で十分に伝わる商材であれば、動画の優先度は下がります。自社の商品について「写真だけでは伝わらないと感じる情報があるか」を判断基準にしてください。
まとめ
ECサイトの動画活用は、CVRの向上、返品や問い合わせの抑制、集客チャネルの拡張という3つの面で売上に貢献します。動画コマースという言葉に身構える必要はなく、主力商品の詳細ページに30秒〜1分の商品紹介動画を1本置くことが実践的な第一歩です。
動画の種類と配置場所をセットで設計し、CVRや再生完了率などの指標で検証しながら広げていく。この進め方であれば、限られた予算でも着実に成果へ近づけます。
LOCUSは、ECサイト掲載動画を含む20,000本以上の制作実績をもとに、企画から効果測定まで一貫して支援しています。自社の商材に合う動画の種類や進め方に迷ったら、お気軽にご相談ください。
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「LOCUS 会社概要」資料ダウンロード
株式会社LOCUSの動画制作・動画活用コンサルティング、YouTubeチャンネルコンサルティング、シニアードなど、会社や事業全般に関して説明をしている資料です。
<こんな方にオススメです>
・これから動画制作・広告配信を依頼しようと考えている
・動画活用について課題を持っている
・LOCUSの強みや特徴を知りたい
・動画制作実績を知りたい

監修者
渡邊 友浩(株式会社LOCUS 事業推進グループ チーフ)
2017年、動画制作・動画マーケティング支援を行うLOCUSに入社。営業としてBtoB/BtoC問わず累計80社以上の動画活用を支援。現在は事業推進グループとして、宣伝会議やデジタルハリウッドSTUDIOをはじめ、企業・団体向けセミナーで多数登壇。現場で培った経験をもとに、企業のYouTube活用やブランディング動画など、動画マーケティングの戦略立案と実践的な活用ノウハウを発信し続けている。




